東京大学大学院工学系研究科 松尾・岩澤研究室(以下、松尾・岩澤研究室)は、日本科学未来館および一般社団法人AIロボット協会(AIRoA)と共同で、サービスロボットの実証実験「未来を体験! ロボット・ハウスキーパー」を2026年3月18日(水)から3月31日(火)まで、日本科学未来館にて実施した。

本取り組みは、日本科学未来館の「未来をつくるラボ」の枠組みのもと実施される実証実験であり、来館者が開発中のテクノロジーを体験し、研究者へフィードバックを届ける取り組みとなっている。

背景

近年、生成AIや大規模基盤モデルの進展により、ロボティクス分野においても多様な環境やタスクに対応可能な「ロボット基盤モデル」の研究開発が加速している。サービスロボットを社会実装していくためには、実環境での多様な動作データの蓄積と、それに基づくモデルの高度化が不可欠だ。

松尾・岩澤研究室では、遠隔操作と学習を組み合わせたロボット制御の研究を進めてきた。2025年夏には日本科学未来館にて遠隔操作ロボットに関する実証実験を実施し、一般来館者からのフィードバックと制御データを収集した。

(参考:東京大学 松尾・岩澤研究室、日本科学未来館でサービスロボットの実証実験を開始

今回の実証実験では、前回の取り組みを発展させ、家庭環境を想定した空間においてロボットによる家事代行サービスの体験と評価を行う。家庭内は家具配置や物品の種類・置かれ方が多様であり、人との距離も近くなることから、安全性や心理的受容性が重要な検証項目となる。本実証実験では、家庭環境に近い条件下での体験を通じて、技術的性能だけでなく、利用者の受容性や安心感に関するデータもあわせて収集する。

実証実験の内容

今回の実証実験「未来を体験! ロボット・ハウスキーパー」では、家庭の中を再現した空間を用意し、遠隔操作ロボットによる家事代行サービスを体験するという内容だ。来館者は、家事を行うロボットと同じ空間に滞在しながら、その働きぶりを「家事代行サービスの利用者」の目線で評価する。

主な体験は以下の2つとなっている。

体験① 遠隔操作ロボットの家事を審査しよう!(体験時間:25分程度)
リビングなどを模した空間で、オペレーターが遠隔操作するロボットが掃除や片付けなどの家事を行う。来館者はロボットの動きを見ながら、「どのくらい日常の家事の助けになりそうか」「自宅にあったら任せたいか」といった観点で評価する。

写真:遠隔操作ロボットによる家事の体験イメージ

体験② ロボット家事代行アプリを使ってみよう!(体験時間:7分程度)
将来、ロボットがある程度自律的に家事をこなすことを想定し、スマートフォンアプリを使ってロボットにタスクを依頼したり、進行状況を確認したり、結果を評価したりする体験を行う。サービスUIのわかりやすさや、利用時の安心感・信頼感などに関する評価を収集する。

写真:未来のロボット家事代行アプリの利用イメージ

本実証実験で蓄積するデータやフィードバックは、暮らしの中でロボットが継続的に活躍するための「ロボット基盤モデル」の研究開発に活かされる。

※今回の実験で使用する遠隔操作ロボットは、トヨタ自動車株式会社未来創生センターの生活支援ロボットHSR。

開催概要

  • イベント名:未来を体験! ロボット・ハウスキーパー

  • 開催期間:2026年3月18日(水)〜3月31日(火) 10:00〜17:00
     ※3月24日(火)は休館日

  • 会場:日本科学未来館 1階 コミュニケーションロビー

  • 対象:誰でも体験可能(体験①は未成年の場合、保護者同伴)
    ※参加には同意書の記入が必要。未成年の場合は保護者の記入が必要となる。

  • 参加費:無料
    ※常設展・ドームシアターのご鑑賞には別途料金が必要。

  • 参加方法:

  • 体験①:当日会場にて整理券を配布。

  • 体験②:直接会場にて体験。

未来館Webサイト

  • 主催:日本科学未来館、一般社団法人AIロボット協会(AIRoA)、東京大学

  • 協力:トヨタ自動車株式会社 未来創生センター

実証実験代表者:松嶋達也(東京大学 大学院工学系研究科 特任助教、一般社団法人AIロボット協会 CTO)

参加方法等、詳細は日本科学未来館のWEBサイトにて告知。

https://www.miraikan.jst.go.jp/events/202603184440.html


東京大学 松尾・岩澤研究室 ロボティクス研究ユニットについて

松尾・岩澤研究室では、実世界と相互作用する実機を通じて「知能とは何か」を解き明かすことを目指し、ロボティクス研究を積極的に推進している。研究室には、ロボットアームやモバイルマニピュレータといった実機に加え、各種シミュレータ、VRデバイス、マルチモーダルセンサなど多様なハードウェア環境を整備し、仮想環境から実環境に至るまで幅広い検証が可能な研究インフラを構築している。

研究開発コミュニティとしては、学内外の学生・研究者が参加する「TRAIL(Tokyo Robotics and AI Lab)」も運用し、現在では50名規模に拡大。ロボカップでは国内大会・世界大会共に上位入賞を果たすなど、実践的な技術力とチーム力を備えた研究体制を形成している。

また、2025年4月より、AIとロボティクスの融合を体系的に学ぶ教育講座Physical AI講座も開講し、次世代の研究者育成と応用研究の加速にも力を入れている。これまでの研究成果はICRAをはじめとするトップ国際会議に採録されており、基礎から応用に至るまで幅広い領域で成果をあげている。

今後について

本実証実験で得られたフィードバックやデータセットを基に、より多様な環境に適応可能なロボット基盤モデルを構築し、家庭内・小売店舗などのサービス領域での実証実験を予定している。本取り組みは、AI技術の最先端研究とロボティクスの現場知見を融合し、日本の産業におけるAIロボット導入を目指す。