簡易食品容器の国内最大手メーカーである株式会社エフピコと、京都府亀岡市に本社を置くスーパーマーケットの株式会社マツモトは、持続可能な循環型社会の実現を目的とした「エコストア協働宣言」を2026年9月1日に発表した。京都府を中心とするスーパーマツモトの全25店舗において、店舗を発着点とした水平リサイクル「ストアtoストア」の取り組みを強化する。

仕組みは、店頭に設置した回収ボックスで使用済み食品トレーと透明容器を回収し、それをエフピコがエコ製品へと再生、再びスーパーマツモトの売場で使用するという流れだ。リサイクルの前後で用途を変えずに資源を循環させる方法を水平リサイクルと呼ぶ。エコ製品とは、回収された資源を原料とする「エコトレー」「エコAPET」「エコOPET」を指す。

数字の実績が明示されている点は、この取り組みを検討する事業者にとって参考になる。スーパーマツモトでは2026年3月期にCO2排出量を407トン削減し、食品トレーの回収量は63トンだった。今回の宣言に伴い、エコ製品の積極的な使用と資源回収量の拡大を進め、2027年3月期のCO2排出削減量を前期比約15%増となる468トンまで引き上げることを目標としている。

25店舗で407トンという実績を1店舗あたりに換算すると、年間16トン程度になる。回収量63トンに対して削減量が407トンと大きく開いているのは、削減効果が回収そのものだけでなく、再生原料から作られた容器を使うことによって生じるためだ。つまり、回収と使用の両輪が揃って初めて数字が積み上がる構造になっている。

協働の強化策として挙げられているのが2点だ。1つは、店舗におけるエコ製品の使用拡大によるCO2削減量の引き上げ。もう1つが、回収量をさらに増やすための取り組みで、地域を巻き込んだ環境啓発イベントの実施や、店舗でのポスターとデジタルサイネージを活用したPR活動を新たに強化・展開するとしている。

啓発の手段としてデジタルサイネージが挙げられている点は、他の事例と異なる部分だ。紙のポスターと違い、内容を随時更新でき、動きのある表示で視線を引ける。すでに店内にサイネージを導入している店舗であれば、追加の設備投資なしに啓発の枠を作れる。既存の設備をこうした用途にも使うという発想は、応用の余地がある。

地域を巻き込んだイベントという方向も、回収量を増やす手段として理にかなっている。回収ボックスを設置するだけでは、その存在に気づいた人しか参加しない。イベントを通じて仕組みを知ってもらえば、日常の買い物のなかで持ち込む人が増えていく。回収量が増えれば再生できる量も増え、売場で使えるエコ製品も増えるという循環になる。

スーパーマツモトは1951年3月設立で、京都に24店舗、大阪に1店舗を展開している。食文化を通して地域社会を豊かにするというモットーを掲げ、地産地消の推奨や生産者と顧客をつなぐ役割に取り組んできた。食品ロスの削減、レジ袋の削減、省エネルギーなど、店舗運営における環境への配慮も進めている。

前期比15%増という目標の立て方も、現実的な水準といえる。回収と使用の両方を少しずつ広げることで到達できる範囲であり、達成の可否が数字で追える形になっている。