技研トラステム株式会社は2026年9月15日、株式会社unerryと連携し、商業施設向けマーケティング支援サービス「PASSER-MARKETING」の提供を開始したと発表した。人数カウントシステムで計測した来館数と、スマートフォンの位置情報をもとにした行動データを組み合わせ、施設の顧客理解や販促施策の検証を支援する。

商業施設にとって、来館者数は運営の基礎となる数字だ。ただし、人数が増えたという結果だけでは、どのような利用者が訪れ、館内のどこへ足を運んだのかまでは分からない。今回のサービスは、その人数の内訳や行動を捉えるためのものといえる。

組み合わせるのは、技研トラステムの人数カウントシステム「PASSER」の実測データと、unerryが運営する「Beacon Bank」のリアル行動データだ。後者はGPSやビーコン技術を活用し、人の移動や施設への来訪などを統計的に把握する。異なる性質のデータを重ねることで、来館規模と利用傾向の両面から施設を分析する設計となっている。

主な提供メニューは三つある。「自店ターゲット分析」では、来訪者の属性や商圏、来訪頻度を把握する。「館内回遊・エリア分析」は、館内のエリアごとの来訪や、ショップ間の併用状況を見るものだ。「マーケット分析(施設間分析)」では、競合施設や周辺施設との関係を捉える。

この三つを店舗運営の視点で見ると、集客対象、館内での動き、施設外での行動をそれぞれ検討できる点が特徴だ。自施設だけで分析を完結させず、周辺施設との併用も含めて考えることで、商圏内でどのように利用されているのかを探る材料になる。

例えば、イベント開催日に来館者が増えた場合でも、その人たちが会場周辺だけを利用したのか、別の売り場にも立ち寄ったのかによって、次に検討する施策は変わる。前者なら館内への案内や売り場との連動企画、後者なら回遊先の店舗を含めた販促が検討候補となるだろう。これは想定される活用例であり、今回発表された導入成果ではない。

発表では、分析結果の用途として、イベントや販促の評価、テナント支援、テナント誘致、商品構成の改善、リニューアルの検討などが挙げられている。さらに、来館履歴や位置情報をもとにした対象者の絞り込み、公式アプリとの連携、デジタル広告など、来館を促す施策への展開も想定している。

分析して終えるのではなく、その結果を次の施策に使い、実施後の変化を確かめるという流れだ。施設側には、導入前に「商圏を見直したい」「館内回遊を促したい」といった課題を整理し、どの数字で変化を見るのかを決めることが求められそうだ。

一方、データの読み方には区別が必要となる。人数カウントによる実測値と、モバイルデータによる推計値は同じものではない。居住地や勤務地も推定であり、来訪や回遊が分かることと、実際に商品を購入したことを確認できることは別だ。売上への影響を評価する際には、購買データなどと併せて検討する必要がある。

来館者数を日々確認するだけでなく、その数字を販促や売り場づくりの判断につなげられるか。今回の連携は、商業施設が持つ人数の情報を、顧客理解と施策改善に広げる取り組みとして注目される。