催事ジャパン株式会社は、マレーシアで日本の飲食ブランドの海外進出を支援するTASTE FOOD JAPAN SDN. BHD.と業務委託基本契約を締結し、戦略的業務提携を開始したと2026年9月1日に発表した。催事ジャパンが企画・展開する和菓子ブランドのマレーシア進出が対象で、両社は現地の商業施設や催事スペース、ポップアップ区画を活用しながら、催事販売とテストマーケティング、認知拡大、販路開拓を段階的に進めていく。

提携の狙いは、両社が持つ強みの組み合わせにある。催事ジャパンは和菓子の商品企画・販売と催事運営のノウハウを持ち、TASTE FOOD JAPANはマレーシア国内の商業施設ネットワークと出店支援の実績、現地の事業基盤を持つ。これを合わせることで、和菓子ブランドがより小さな投資単位でマレーシア市場に挑戦できる環境を整えるという。

背景にあるのは、海外進出の重さだ。現地法人の設立、物件の確保、人材採用、物流網の構築、食品規制への対応、マーケティングと、必要な準備と初期投資は多岐にわたる。加えて、日本国内で実績を持つ商品やブランドであっても、現地の消費者に受け入れられる価格や味、商品構成、販売方法は日本市場と同じとは限らない。そこで催事ジャパンは、最初から大規模な常設店舗を構えるのではなく、まず催事販売やポップアップ出店から始め、実際の販売結果と顧客の反応を確認しながら商品と売り方を現地に合わせていく進出モデルを構築する。

パートナーとなるTASTE FOOD JAPANは、海外進出を希望する日本の飲食事業者に向けて、出店戦略の策定、テナント紹介、内装や仕入業者の手配、マーケティング施策、フランチャイズパートナーの紹介などをワンストップで提供する「お試し出店サービス」を展開してきた。2025年11月時点で、「伝説のすた丼屋」「肉汁餃子のダンダダン」「麺家いろは」「麺屋帆のる」など、合計6社6ブランドのマレーシアでのトライアル出店を支援している。

今回の提携で共同推進する取り組みは5つに整理されている。1つ目が、現地ネットワークを活用した商業施設、催事スペース、百貨店、ポップアップ区画などにおける出店候補先の調査、紹介、出店調整。2つ目が、和菓子商品を現地で販売し、商品別の販売実績や客層、価格受容性、味やパッケージへの反応を検証すること。3つ目が、そこで得た反応と販売データをもとに、商品構成、価格、容量、パッケージ、訴求方法、販売オペレーションを継続的に改善することだ。

4つ目には、輸出入や物流、食品表示、食品衛生、原材料規制、アレルゲン表示、賞味期限表示、保管温度、ハラール認証といった実務対応の支援が挙がる。現地の専門家や関係事業者と連携しながら進めるという。ハラール認証が明記されている点は、マレーシア市場ならではの要件といえる。そして5つ目が、催事販売で一定の需要が確認できた商品について、現地の小売事業者や卸売先、ディストリビューター、事業パートナーへ展開を検討することだ。

第一弾の取り組みとしては、催事ジャパンが取り扱う和菓子商品を、TASTE FOOD JAPANの現地ネットワークを通じて提案される商業施設や催事スペースで販売する計画が示されている。具体的な出店会場や実施期間、販売ブランド、商品ラインアップは、現地商業施設との調整や食品輸入・表示の確認を経て、決定次第あらためて発表される。初回の販売実績と顧客の反応をもとに、継続開催や複数施設への展開、卸売、常設販売などを段階的に検討していく。

今後の展開として両社が検討対象に挙げているのは、催事・ポップアップの継続開催、複数の商業施設や地域への展開、現地消費者向けの商品開発とローカライズ、小売店や百貨店、スーパーマーケットへの卸売、現地ディストリビューターや販売パートナーとの連携、常設店舗やライセンス、フランチャイズ展開の可能性検証、さらに他のASEAN市場への展開である。催事ジャパンはマレーシアを和菓子ブランドの海外展開における重要な起点と位置付け、現地での実績を積み重ねながら、再現性のある進出モデルの構築を目指すとしている。

催事ジャパンの石野優太代表取締役はコメントのなかで、和菓子の海外進出には現地ネットワークや物件、物流、食品規制、マーケティングなど多くの壁があるとしたうえで、大きな投資を先に行わず催事販売から挑戦できる体制が整ったと述べている。TASTE FOOD JAPANの杉本大代表者も、今回の提携によって外食事業者だけでなく食物販のカテゴリーも扱えるようになり、支援できる業態の幅が広がるとの見方を示した。