レシピ動画メディア「デリッシュキッチン」を運営する株式会社エブリーは、利用者1,050名を対象に実施した食品の消費減税に関するアンケート調査の結果を2026年9月3日に公表した。減税の認知度は97%に達し、外食を減らすと答えた人の切り替え先としては「自宅で料理」が最も多い20%を占めた。減税の施行を待たず、生活者の意識がすでに動き始めていることがうかがえる内容となっている。
調査の前提となるのは、2026年8月5日に政府が閣議決定した方針だ。酒類と外食を除く飲食料品の消費税率を、2027年4月から2年間、現行の8%から1%へ引き下げるというもので、関連法案は今秋の臨時国会で審議される見通しとなっている。成立すれば、1989年の消費税導入以来はじめての税率引き下げとなる。デリッシュキッチンは、日々の献立を考えて店頭で買い物をする利用者を対象に、この変化が買い物行動をどう変えるのかを調べた。調査はアプリ内のアンケートとして行われ、期間は2026年8月13日から8月26日、回答数は1,050だった。
まず認知度については、2027年4月から食料品の消費税が8%から1%に引き下げられる見通しを「知っている」と答えた人が97%に上った。制度の施行はまだ先だが、ほぼ全員が変化を把握している状態にある。法案の審議はこれからにもかかわらずこの数字であり、売場に立つ側にとっては、来店客の多くがすでに減税を前提にものを考えていると見ておくべき水準だといえる。
減税で浮いたお金の使い道を尋ねた設問では、「特に変わらない」が30%で最も多く、「食費以外の支出に回す」28%、「貯蓄に回す」19%が続いた。一方、「より良い食品を選ぶ」は15%、「食費の総額を増やす」は8%で、合わせて約23%が食への再投資を検討していることが分かった。浮いた分がそのまま食品の売上に戻ってくるとは限らない、という現実的な数字が示された形だ。
この設問は年代によって傾向がはっきり分かれている。「より良い食品を選ぶ」と答えた割合は20代が最小の3%だったのに対し、60代以上では最多の19%となり、年代が上がるほど食にお金をかける意向が強まる結果となった。逆に「貯蓄に回す」は20代以下で46%と、若年層で突出して高い。同じ減税でも、受け取り方が世代でまったく違うことが読み取れる。値下がりを暮らしの余裕として食に還元する層と、将来への備えに回す層が、はっきり分かれている。
減税を機に「量や回数が増える」と思う食品カテゴリーを複数回答で聞いた設問では、「肉」が44%、「魚・海鮮」が36%と、生鮮食品が上位を占めた。単価が高く、これまで量を控えていた品目ほど、減税の恩恵が意識されやすいということだろう。裏を返せば、値ごろ感で選ばれてきた商品よりも、少し良いものへ手を伸ばす動きが生鮮を中心に起きる可能性がある。
外食への影響については、食料品の消費税が1%になり外食が10%のままだった場合を想定して尋ねている。「外食の頻度は変わらない」が56%を占めた一方、外食を減らすと答えた人は合わせて41%に上った。その減らした分の切り替え先として最も多かったのが「自宅で料理」の20%で、全体で見ればおよそ5人に1人が自炊へと向かう計算になる。食料品と外食で税率の差が9ポイント開くことになるため、価格差が日々の選択に直接効いてくる形だ。
小売の現場に引き寄せて考えると、いくつかの示唆が見えてくる。生鮮、とくに精肉や鮮魚の動きが強まる可能性が高い一方、浮いた分を食に戻すと答えた層は約23%にとどまり、大半は貯蓄や他の支出に回す構えだ。単純な客単価の上昇を見込むより、どの層がどのカテゴリーで動くのかを絞って備える方が現実的といえる。年代差も大きく、シニア層には品質訴求、若年層には価格訴求と、同じ売場でも打ち出し方を分ける必要が出てきそうだ。外食から内食への流れが起きるとすれば、献立提案や少量の調味料、簡便調理の関連商品にも波及余地がある。
なおエブリーは、より詳細な調査結果と分析を解説するオンラインウェビナーを2026年9月29日12時から13時まで開催する。対象は食品メーカーや流通・小売事業者、マーケティング担当者で、参加費は無料、Zoomでの配信となる。