Sansan株式会社は、タイで家具・インテリア用品を販売するニトリリテールタイにおける経理サービス「Bill One」の活用事例を2026年9月14日に公表した。本社と全13店舗の従業員約240名が利用する体制を構築し、年間で約400時間の業務削減を実現したという。導入は2025年12月だ。
多店舗を展開する企業にとって、この事例が示す課題は普遍的なものといえる。
同社が導入の理由として挙げているのは、店舗数の拡大に比例して増えていく定型業務だ。商業施設のデベロッパーや物流会社、店舗設計・施工会社など、店舗運営を支える取引先は多く、紙の請求書を多く受け取っていた。発注担当者が支払申請をするたびに、請求書と発注書を目視で確認し、専用のExcelに情報を転記するという作業が発生していたという。
加えて、発注担当者による請求書の受け取りや、部門内での確認と承認の状況が経理部門からは見えず、支払漏れのリスクもあった。店舗が増えれば、こうした作業量もリスクも、担当者への教育コストも比例して増えていく。
同社はこれを構造的に解決するという言い方をしている。人を増やして対応するのではなく、仕組みを変えることで店舗数の増加に耐えられる体制を作るという考え方だ。
導入後は、請求書の確認から支払申請までを1つのシステム上で行う流れに移し、Excelへの転記作業をなくした。発注書と請求書を金額ベースで自動照合する機能も使い、目視確認の時間も削減している。全社の請求書の受け取りと承認の流れが見えるようになったことで、確認の遅延や未対応による支払漏れを防ぐ体制も整った。監査や決算の資料作成時に、請求書へすぐアクセスできる点も挙げられている。
同社の経理マネジャーはコメントのなかで、従来は紙、メール、チャット、Excelといった複数の経路が混在しており、透明性の確保やヒューマンエラーの防止が長く課題だったと振り返っている。タイでは請求書や領収書の原本保管が法律で定められているため、紙を起点とした業務の改善は難しいと感じていたという。実際に運用してみて、原本保管以外の業務はなくしていけると実感したとしている。
グループの経理マネジャーからは、海外展開の文脈での考え方も示された。ニトリグループは2026年3月末時点で海外に209店舗を展開しており、今後も東南アジア各国に出店していく。出店が増えるほど人件費と教育コストが増えるため、人手でカバーするのではなく、AIやDXツールで自動化できるオペレーションを構築する必要があるという認識だ。
今後はフィリピン、インドネシア、マレーシア、シンガポールへの展開も検討しているとした。