株式会社富士薬品は、愛媛県西予市と包括連携協定を2026年9月14日に締結した。配置薬販売事業を通じた自治体との協定としては56例目、愛媛県内では宇和島市に続く2例目となる。同日、西予市役所で締結式が行われた。

協定は5項目で構成される。セルフメディケーションの強化、健康情報の発信、高齢者等の見守りサービス、防災・災害対策、そしてその他必要な事業だ。ただし今回は、具体的な取り組みを今後市と協議のうえ決定するとされており、現時点では枠組みの合意にとどまる。

こうした協定を短期間に数を重ねていく進め方には、この企業ならではの背景がある。

配置薬の営業員は、厚生労働省の定めにより原則として登録販売者の資格を有している。加えて、契約先を定期的に訪問する営業スタイルを持つ。つまり、有資格者が地域の家庭を回っているという状態が、事業の構造としてすでに存在する。

自治体が求めている高齢者の見守りや健康情報の発信は、この既存の訪問活動にそのまま乗せられる。新しい仕組みを作る必要がないため、協定を結ぶ側の負担が小さい。56例という数字は、その汎用性の高さを示しているといえる。

地域での事業規模も示されている。西予市内では家庭と企業を合わせて約2,000軒が配置薬を利用しており、愛媛県内ではグループのドラッグストアと調剤薬局を20店舗、うち西予市内には2店舗を展開している。

店舗を持つ小売の立場から見ると、この事例は自治体との関わり方の一例として読める。店舗数が限られる地域でも、訪問という別の接点があれば協定の土台になる。逆に言えば、自治体が求めているのは店舗の規模ではなく、住民と継続的に接する機会だということだ。

背景として同社が挙げているのは、人口減少と少子高齢化を受けて、多くの自治体で健康寿命の延伸が重要な課題になっているという状況だ。西予市も健康づくり計画のもとで総合的な推進に取り組んでいるとされる。

同社は1930年に富山県富山市で配置薬販売業として創業し、現在は配置薬、ドラッグストア・調剤薬局、医薬品製造、医療用医薬品販売の4事業を展開している。