株式会社TYLは、農林水産省後援の食の商談展示会「たべるーとEXPO2026」を2026年7月13日と14日の2日間、東京都立産業貿易センター浜松町館で開催した。全国各地から農業、畜産業、水産業の生産者を中心に243社・団体が出展し、飲食店、ホテル、小売、卸など食材の仕入れや商品企画に携わる3,723名が来場した。

来場者の目的は明確だった。83.5%が「新規取引先・仕入れ先の開拓」を挙げており、約4割が社長、役員、部長クラスの意思決定層だったという。名刺交換や情報収集ではなく、実際の取引を見据えた商談の場として機能していたことがうかがえる。

出展者アンケートによると、商談件数は9,167件。このうち「具体商談(最優先)」が1,530件、「可能性が高い商談」が2,094件で、合わせて3,624件が具体的な案件につながったと報告された。来場者数への満足度は5点満点で4.53、来場者の質は4.15。次回出展についても、回答者の8割超が「ぜひ出展したい」または「条件が合えば出展したい」と答えている。

この展示会が解決しようとしているのは、供給側と需要側の双方にある構造的な課題だ。全国には品質や独自性の高い食材を生産しながら、営業人員や販路、都市部の料理人・バイヤーとの接点が不足し、その価値を十分に届けられていない生産者が存在する。一方、飲食店やホテル、小売の側には、他店との差別化につながる食材や、産地や生産背景まで語れる商品を求めるニーズがある。この2つを直接つなぐことが狙いだ。

会場では、生産者自身が試食を通じて味や生産背景、こだわりを伝え、価格、供給量、物流、活用方法まで直接対話する形をとっている。単純な価格比較ではなく、食材そのものの価値を知ったうえで取引を検討できる場を目指したという。運営側は、名刺交換で終わるのではなく、サンプル送付、見積もり、テスト導入、継続仕入れといった実際の販路につなげることを重視すると説明している。

仕入れる側から見ると、この展示会の特徴は来場者の顔ぶれにも表れている。大手外食、ホテル、百貨店、小売に加えて、食材へのこだわりが強い1店舗から5店舗規模のオーナーシェフや料理人も多数訪れた。規模の大小を問わず、生産者と直接向き合えるという点が支持されている形だ。小規模で運営する飲食店にとって、卸を介さず産地とつながる機会は限られている。差別化のための食材を探す手段として、こうした場の価値は高いといえる。

当日は、県知事や参議院議員をはじめ、自治体や行政、地域産業支援の関係者も来場した。地域の生産者と都市部の飲食店、ホテル、小売をつなぐ、地域単位での販路開拓の場としても関心が寄せられたという。

商談以外のプログラムも用意された。五島列島の素潜り漁師である森川純氏が商品化に取り組むガンガゼウニを使ったライブクッキングが、料理人向けの技術専門メディアによって実施されたほか、ヤマト運輸、日本料飲外国人雇用協会、タイミー、MYPLATE、生体システム実践研究会によるセミナーも開かれ、物流や外国人雇用、人材確保といった現場の課題に関する情報が提供された。

2027年からは、春と夏の年2回開催へと拡大する。農産物や水産物は地域や品目によって旬や出荷時期が異なるため、開催機会を増やすことで、より多様な地域や品目の生産者が販路開拓に挑戦できる場を目指すという。次回日程は、春が2027年3月15日と16日、夏が7月20日と21日。今後は生産者単独の出展に加え、自治体や地域団体による共同出展、地域生産者の販路開拓支援もさらに拡大していく方針だ。

年2回になることで、仕入れる側にとっては産地の旬に合わせて訪れる選択肢が増える。春と夏では並ぶ品目が変わるため、季節ごとの品揃えを考える売場にとっては、それぞれ意味の異なる機会になりそうだ。

出展者アンケートの数字を細かく見ると、商談9,167件に対して具体的な案件は3,624件で、およそ4割にあたる。展示会の商談は名刺交換で終わることも多いなか、この比率は来場者の目的意識の高さを裏づけている。買い手にとっても、生産者が自ら立って説明する場は、価格表だけでは分からない供給量や出荷体制を直接確認できる機会になる。