鮮魚専門店「角上魚類」を展開する角上魚類ホールディングス株式会社は、くふう トクバイが主催する「全国スーパーマーケット おいしいもの総選挙 2026」に4商品でエントリーしたと2026年9月1日に発表した。投票期間は9月1日から9月23日までの23日間で、各店では対象商品の販売を強化しながら投票を呼びかけている。

同社は前年の総選挙2025で、観光部門において「四色丼」が最高金賞を獲得している。この部門は本年からご当地商品部門に改定された。受賞後は多くのメディアに取り上げられ、大きな反響を得たという。

今年の4品を見ていくと、それぞれ異なる部門を狙う構成になっている。ご当地商品部門にエントリーしたのが「五色丼」で、税込1,300円。最高金賞を受賞した四色丼は、その後も支持を集めて販売を継続していたが、原料の不足と仕入価格の高騰により、昨年末以降は販売休止を余儀なくされた。それでも日常のちょっとした贅沢を届けたいと考え、リーズナブルな具材を探し出して四色から五色にパワーアップさせ、2026年4月に販売を開始した経緯がある。寺泊本店では2026年4月と5月の2カ月で4,957点を販売し、四色丼を上回る人気商品になっているという。

原料高で受賞商品が続けられなくなり、構成を組み替えて再投入するという流れは、生鮮を扱う多くの事業者に通じる話だ。看板商品ほど原料の変更は難しいが、価格を維持できなければ売場から消えてしまう。品目を増やして単価を保つという選択が、結果として前の商品を上回る動きにつながっている点は興味深い。

デリカ部門には「海鮮天丼」を投入する。税込750円で、鮮魚専門店が揚げた海鮮天ぷらを敷き詰めた一品だ。2025年12月から2026年5月までの半年間で、全店の売上点数は506,992点に達した。昨年は金賞を獲得しており、今年は最高金賞のみを狙うとしている。昨年12月からはタレの小袋を別添にしたバージョンも発売し、好みでタレを調整できるようにした。

このタレの別添という変更は、惣菜を扱う売場にとって参考になる工夫だろう。既にかかった状態で売る場合、味の濃さは店側が決めることになるが、別添にすれば購入者が調整できる。時間が経っても衣が湿りにくいという利点もある。

グロサリー部門には、その海鮮天丼を支える「天丼のたれ」がエントリーした。1本税込300円で、要望に応える形で昨年8月から販売を開始した商品だ。惣菜として売れている味を、家庭で使える調味料として切り出したことになる。惣菜の人気を別カテゴリーの商品へ横展開する手法として、応用の余地がある。

4品の並べ方にも狙いが見える。丼もの2品に加え、それを支える調味料と、家庭で丼にできる海鮮漬けという構成で、部門をまたいで自社の商品を露出させている。1社が複数部門にエントリーできる仕組みを活かし、賞を取りにいくと同時に、投票期間中の売場全体の動きを作ろうとする形だ。

生鮮・日配部門には「海幸漬」が入った。150g入りで税込730円。数の子や昆布、スルメなどの松前漬けをベースに、ウニやイクラなどを盛り付けた自社製のオリジナル商品で、ホタテやイタヤ貝の小柱も入る。白ご飯に乗せるだけで海鮮丼になるという手軽さで、リピーターが多いという。

同社の売場づくりでは、対面での接客も特徴のひとつだ。全店に「親切係」と呼ばれるスタッフを配置しており、黄色い帽子が目印になっている。対面売場には市場のように多くの魚が並ぶため、初めて見る魚の食べ方や調理法が分からず注文に戸惑う来店客も少なくない。そこで魚の特徴やおいしい食べ方、身おろしのアドバイスなどを行う役割を担っている。鮮魚の対面販売を続けるうえで、商品知識を持つ人をどう配置するかという課題への1つの答えといえる。

主催するくふう トクバイは、食品スーパーマーケットをはじめ様々な業態の小売店のチラシと買い物情報を掲載するWebサービスだ。「日本のおいしいものは、地元のスーパーにある」をキーメッセージに掲げ、デリカ、スイーツ、グロサリー、生鮮・日配、ご当地商品の5部門で投票を実施する。前回2025年の投票総数は22万票以上に達した。