近鉄百貨店は、「2027年 近鉄のおせち料理」の注文受付を、2026年9月11日からネットショップで、9月18日から各店売場で開始する。カタログ掲載点数は迎春用商品を含めて約500点と過去最多になった。中心価格帯は16,200円から21,600円で、前年並みとしている。
今年の打ち出しのキーワードとして掲げられているのが「年末から楽しむ」だ。同社は、年始の食事が鍋やすき焼きなど多様化している背景から、年末から手軽に楽しめる「年越しオードブルタイプ」のおせちの需要が高まっていると分析している。
この見立ては、おせちという商材の位置づけの変化を示している。従来は1月1日に食べるものという前提があったが、その前提が崩れれば、販売できる期間も食べる場面も広がる。年末の団らん向けという文脈が加われば、正月料理を用意しない層にも届く可能性がある。
具体的な商品としては、昨年初登場した近鉄オリジナルの「年越しオードブル」に加え、今年は肉料理を詰め込んだ「年越し肉彩オードブル」が新登場する。2人用の一重折で16,200円、約31品という構成だ。ローストビーフやハンバーグ、骨付きソーセージなど世代を問わず食べられる内容になっている。既存の「年越しオードブル」は3人用の二重折で27,000円、約52品となる。
あわせて、2026年4月にあべのハルカス近鉄本店の惣菜売場にオープンした「叙々苑」から、近鉄初登場となる焼肉おせちも用意する。4人用であわび粥付き、37,800円の冷凍商品だ。
惣菜売場に出店した専門店の商品を、おせちという形で展開している点も見逃せない。通年で売場に入っている店舗であれば、そのブランドを季節商材へ展開する余地がある。テナントとの関係を、通常営業だけでなく催事や予約商材にも広げていく考え方といえる。
もう1つの軸が、素材へのこだわりだ。今年新登場した「美味彩々 国産素材おせち」は、北海道から鹿児島まで全国の国産素材を詰め込んだ商品で、3人用の二重折27,000円、約38品。鹿児島県産の鰤、宮崎県産の金柑、徳島県産のつの字海老、北海道産の数の子やいくらなど、品目ごとに産地を明示している。すべての素材を国産にこだわりながら、手に取りやすい価格を追求したという。
産地を1品ずつ明記する見せ方は、売場での説明にそのまま使える。おせちは中身が見えない状態で予約する商品のため、何がどこから来ているかという情報が判断材料になる。価格の根拠を示す手段としても機能する。
予約商戦としての立ち上がりの早さも押さえておきたい。9月中旬に受付を始め、店舗によっては12月下旬まで承るという長丁場になる。3カ月以上にわたる販売期間のなかで、早期予約の特典や締切の設定によって需要を前倒ししていくのが、この分野の定石だ。約500点という点数は、その長い期間に対応するための幅でもある。
有名料亭のおせちも約150種類を揃える。京料理たん熊北店の三重折が124,740円、高麗橋𠮷兆の三重折が356,400円といった高額帯から、1万円台の商品まで幅を持たせている。
産学連携の商品も6年目を迎えた。近畿大学とのコラボレーションによる「近大味めぐりおせち」は、近大マグロや近大マダイのほか、農学部の学生が育てた野菜、今年からは和歌山県の畜産試験場と共同開発した黒毛和牛「紀州和華牛」も加わる。文芸学部の学生がデザインした風呂敷に包んで届けるという構成で、2人用の一重折19,980円、約30品だ。
このほか、年越しそばや鍋、すき焼き肉といった迎春食品も事前予約と配送に対応する。年末の混雑を避けて準備できる点を訴求している。
なお今年から、一部商品を除きネットショップでの注文品もあべのハルカス近鉄本店で店頭受取が可能になった。受取方法は各店の「おせち料理お渡しコーナー」か自宅配送で、商品により異なる。