大丸東京店は、2027年のおせちをひと足早く味わえる「おためしおせち」を、2026年9月16日10時から数量限定で販売する。販売場所は地階の鮮魚売場イベントコーナー、販売価格は1,080円、限定数は50折でなくなり次第終了となる。整理券はJR八重洲北口のB1通路で9時30分から配布される。
商品は、2027年の大丸・松坂屋のおせち特別企画の中から、料理研究家や有名店の料理人が監修するメニューを中心に、6種11品を詰め合わせた内容だ。ソムリエ料理家、料理研究家、酒場詩人、自社の食品バイヤー、ウイスキーアンバサダー、管理栄養士と、監修者の顔ぶれも幅を持たせている。それぞれのおせちから代表的な料理を1品から2品ずつ抜き出す構成になっている。
この企画が生まれた背景として同社が挙げるのは、購入者の声だ。種類が多くてどれを選べばよいか悩む、購入前に味見をしてみたい、という要望に応える形で2023年に初めて販売した。初回は販売開始から30分で完売し、2024年と2025年も好評だったという。
売場づくりの観点で見ると、この手法は予約商戦の課題に正面から向き合っている。おせちは、中身を見ずに写真とカタログだけで数万円の買い物を決める商品だ。しかも年に一度しか買わないため、購入者側に判断の材料が蓄積されない。1,080円で実際の味を確認できる機会があれば、その不安を減らせる。
販売のタイミングにも意図が読み取れる。オンラインストアでの注文受付は翌9月17日14時から始まるため、味見は予約開始の直前にあたる。試食から予約までの間隔が短いほど、味の印象が残ったまま判断に進める。売場での体験と、オンラインでの購入を直接つなぐ設計といえる。
数量を50折に絞っている点も、この企画の性格を示している。全員に行き渡らせることが目的ではなく、話題を作り、予約開始に向けた関心を高めることに主眼がある。整理券の配布場所を駅の通路としているのも、通勤の動線上で目に触れることを狙ったものだろう。
商戦全体の数字も公表されている。大丸東京店の昨年のおせち商戦は、売上が前年比3.7%増だった。同社はこの背景として、長引く物価高で日頃は節約志向が高まる一方、ハレの日である正月には特別な食卓を楽しみたいというニーズもあると分析している。
今年は、物価高でも気軽に楽しめるコストパフォーマンス重視の商品と、人気の監修企画をさらに進化させた豪華な商品の両方を揃え、ラインアップを拡充する。おせち商戦では前年比5%増の売上を目指すとした。
節約と贅沢が同じ人のなかに同居しているという見立ては、多くの売場に当てはまる。日常は抑え、特定の日には使うという消費行動に対して、価格帯の幅を広げて受け止めるという対応は、おせちに限らず応用できる考え方といえる。