松坂屋静岡店は、静岡県出身の洋画家である滝浪文裕氏の個展「道ゆけば」を、2026年9月16日から9月22日まで、北館2階のアート&ラグジュアリーサロンで開催する。同店では2年ぶりとなる個展で、新作を中心に展示販売を行う。

百貨店の売場という観点で見ると、この企画には2つの特徴がある。

1つ目が、地元出身の作家を招いている点だ。同氏は静岡県の出身で、現在は公募美術団体の代表を務めるほか、4コマストーリー漫画の制作など、絵画の枠を超えた活動を続けている。

地域に根ざした百貨店にとって、その土地の出身者を扱うことには意味がある。来店客にとって身近な存在であり、話題としても共有しやすい。全国的な知名度だけで作家を選ぶのではなく、地域とのつながりを軸にするという考え方だ。2年ぶりという間隔も、継続的な関係があることを示している。

2つ目が、作家が会期中の全日在廊を予定している点である。7日間の会期を通じて作家本人が会場にいるという体制だ。

作品を並べるだけであれば、来場者は見て帰るだけになる。作家がいれば、作品の背景や制作への思いを直接聞ける。展示販売という形をとる以上、購入を検討する層にとって作家との会話は判断材料になる。とくに数十万円規模になりうる絵画の場合、その差は大きい。

一方で、全日在廊は作家にとって7日間を拘束されることでもある。それを引き受けてもらえる関係が築けているかどうかが、この種の企画を成立させる条件になる。

展覧会のタイトルには、これまでの歩みとこれからの制作への思いが込められているという。作品は、写実性と象徴性を併せ持つ独自の表現で、人物や風景、静物を描いたものが並ぶ。

アート&ラグジュアリーサロンという区画名にも、この売場の位置づけが表れている。美術品と高額商材を同じ空間で扱うという構成で、来店客の層も重なる。単価の高い商材を扱う売場を持つ百貨店にとって、アートの展示は集客と販売を兼ねる手段のひとつといえる。

なお会期中の在廊時間は未定とされており、都合により変更が生じる場合があるとしている。