阪急うめだ本店は、3階のモードフロアで「FEEL THE RUNWAY」を2026年9月9日から22日まで開催している。同フロアのブランド「HANKYU.MODE」が誕生10周年を迎えたことを記念した企画で、9月19日には1日限りのスペシャルイベントを実施する。

百貨店の売場運営という観点で、この企画には検討の価値がある要素が並んでいる。

最も目を引くのが、売場そのものをイベント会場に転用する点だ。3階のフロアをランウェイに見立ててファッションショーを開き、2026年秋冬コレクションのルックを間近で見せる。午後3時からの開催で、複数のブランドが参加する。

通常、ファッションショーは限られた関係者だけが立ち会う場だ。それを売場で行うことで、来店客がその熱量に触れられる。同時に、商品が実際に着られている状態を見せられるという実務的な利点もある。ハンガーに掛かった状態では伝わりにくい素材の動きやシルエットが、歩く姿では分かる。

トークショーも組まれている。午後2時から、業界紙の編集長とファッションエディターによるトークが行われ、最新コレクションの情報やショーの裏話が語られる。ショーの1時間前に置くことで、来場者を早い時間から集める設計だ。

正午から午後5時までは、フォトグラファーによるスナップ撮影も実施される。来店客が撮られる側になるという構成で、参加する動機になる。

販促面では2種類のプレゼントが用意された。1つは1レシート税込5万円以上を購入した先着100名に和菓子を進呈するもの。もう1つが、ドレスコードに沿って来店した先着50名へのノベルティだ。

このドレスコードの設定が面白い。「10年以上愛用しているもの、または10年後の自分に残したいもの」を身につけて来店するという条件で、企画全体のテーマである「時間を重ねるほどに美しい」という考え方と結びついている。

来店客に何かを身につけてきてもらうという仕掛けは、参加のハードルを上げる一方で、当日の会場の雰囲気を作る効果がある。買い物に来た人ではなく、企画に参加しに来た人が集まることになる。しかも条件が長く使っているものというだけなので、費用はかからない。

SNSとの連動も組まれている。長く大切にしているものの画像とコメントを指定のハッシュタグ付きで投稿する形で、当日のドレスコード参加者と合わせて5名に商品券1万円分が贈られる。投稿の締切は9月17日までだ。

会期中は、各ブランドのコレクションピースの展示も行われている。1日限りのイベントに人を集めつつ、2週間の会期を通じて売場を見せるという二段構えの構成になっている。