三越伊勢丹のグループ会社で、首都圏を中心にスーパーマーケット「クイーンズ伊勢丹」を22店舗運営する株式会社エムアイフードスタイルは、「秋の北海道展」を2026年9月2日から9月13日までの期間限定で開催している。開催店舗は14店舗だ。
北海道展は物産展の定番であり、集客力の高い企画として多くの小売業が実施している。定番だからこそ、他店との違いをどう出すかが問われる企画でもある。
物産展の中身は、生鮮からデリカ、菓子、酒類まで幅広い。青果では、強い甘みと濃厚な旨みが特徴のミニトマト「ほおばりっち」や、栗のようなホクホク感と甘みが魅力の「栗マロン南瓜」が並ぶ。鮮魚では身とカニ味噌が詰まったボイル毛蟹、精肉では十勝ワインのワインオリを餌に混ぜて育てた「いけだ牛」を扱う。
デリカでは、北海道の海の幸を使った海鮮丼のほか、「鮭のちゃんちゃん焼き」や「国産骨付き鶏のまるかぶりザンギ」といったご当地グルメも揃える。酒類には、北海道産ぶどうを100%使用した「はこだてわいん ワイナリーでしか買えないワイン」や「サッポロクラシック」が入り、食事との組み合わせを提案する構成になっている。
菓子では、毎年好評だという「函館洋菓子 スナッフルス チーズオムレット」や「柳月 クリ~ミ~ビッケサン」に加え、今回は北海道三大羊羹として「五勝手屋本舗 五勝手屋丸缶羊羹」「八木菓子舗 三石羊羹」「標津羊羹本舗 標津羊羹」が新登場する。3種類をまとめて並べ、食べ比べを促す打ち出しだ。
企画として注目したいのが、会期の途中で切り口を変える設計である。9月9日からは旭川の味を特集し、112年続く老舗である梅屋の「北海道シュークリーム」や、発祥の味として知られる炭やの「塩ホルモン」などが登場する。12日間という比較的長い会期のなかで、前半と後半で商品構成に変化をつけることで、一度来店した客に再訪の理由を作る形になっている。
物産展は、期間が長くなるほど後半の集客が落ちやすい。同じ売場を何度も見に来る動機が薄れるためだ。会期の中盤で新しい特集を差し込む方法は、その課題への対応として応用が利く。特集の対象を都市や地域単位に絞れば、商品の入れ替え規模を抑えながら見え方を変えられる。
三大羊羹の食べ比べという打ち出しも、単品を並べるより買い上げ点数が伸びやすい構成といえる。1つ買えば済むところを、比べるという行為を提案することで複数購入につなげる考え方だ。銘菓のように日持ちする商品は、この手法との相性が良い。
また、生鮮から菓子、酒までを1つの企画に収めている点も、スーパーマーケットの物産展らしい構成だ。百貨店の催事が菓子と惣菜に寄りがちなのに対し、青果や精肉、鮮魚を含められるのは、日常の買い物の場である強みが出る部分になる。食材と、それに合う酒を同じ企画のなかで並べられれば、買い上げ点数を伸ばす提案もしやすい。
開催店舗は、クイーンズ伊勢丹の笹塚店、新高円寺店、仙川店、小石川店、北浦和店、石神井公園店、本八幡店、品川店、白金高輪店、武蔵境店、目白店、国分寺店、新小岩店、十条店の14店舗。店舗により取り扱いのない商品があり、天候の影響や交通事情によって入荷がない場合や遅延する場合がある。販売時期が異なる商品も含まれる。
22店舗のうち14店舗での開催という点にも触れておきたい。全店一斉ではなく、店舗を絞って実施する形だ。物産展は売場の面積と人員を割く必要があるため、立地や客層に応じて実施店を選ぶ判断はよくある。導入する側にとっては、どの店で何を打つかという設計そのものが企画の一部になる。
クイーンズ伊勢丹は高品質な食品スーパーマーケットとして、独自性の高いプライベートブランドを中心に、利便性と簡便性の高い商品を揃えている。時間帯に応じた商品とサービスを提供しており、現在首都圏に22店舗を展開する。運営するエムアイフードスタイルは、三越伊勢丹フードサービスが育ててきたスーパーマーケット事業と食品製造加工卸事業などを承継し、2018年に設立された会社だ。事業内容にはスーパーマーケット運営のほか、百貨店内店舗運営、食品製造、OEM事業、ベンダー事業が含まれる。