米スターバックス(Starbucks)は、米国とカナダの店舗を刷新する「コーヒーハウス・アップリフト」が、2025年後半以降の累計で1,000店舗を超えたと発表した。柔らかな座席や素材感のある内装、アートワーク、植栽、地域ごとのデザインを取り入れ、来店客が長く滞在し、より交流し、家のようにくつろげる空間を目指す取り組みだ。同社グローバルデザイン&コンセプト担当シニアバイスプレジデントのドーン・クラーク氏は、この節目を、試験導入中心の段階から、店舗体験の向上と「サードプレイス」としての役割強化に焦点を当てた本格展開への移行点と位置づけている。

同施策は、同社の再建策「バック・トゥ・スターバックス」の一環として始まった。南カリフォルニアとニューヨークで新デザインの試験導入を行い、その後シカゴなどの都市へ拡大している。今回は北米全体での展開を加速させ、メキシコで始まった導入も踏まえて対象を広げる。2026年度末までに少なくとも1,500店舗の刷新を完了する計画で、2027年度にはさらにペースを上げる方針だ。

現在は、アトランタ、オースティン、ダラス、ヒューストン、マイアミ、ナッシュビル、オーランド、シアトル、ワシントンD.C.などで刷新が進行中。カナダではトロント、バンクーバー、カルガリーで取り組んでいる。メキシコでは、メキシコシティ、モンテレイ、アカプルコ、エンセナダで試験導入を進めており、今後さらに拠点を追加する予定だ。

各店舗の刷新は、地域の特性に合わせて設計される。テキサス州オースティンの「360 & Bee Caves」店は、軍関係者の多い地域にあり、「スターバックス・ミリタリー・ファミリー・コーヒーハウス」プログラムの一環として刷新された。軍務への敬意を示す要素を取り入れ、現役軍人や退役軍人、その家族、近隣住民が集える空間とした。ワシントンD.C.のキャピトル・ヒル店は、開業から25年にわたり地域の集いの場となってきた店舗で、地元にちなんだアートワークや再生木材の床、保存した建築ディテール、重ね使いの素材と間接照明で、歴史ある街並みの雰囲気を表現している。

シカゴ近郊イリノイ州ウィネトカのチェストナット&スプルース店は、かつて「ザ・ランドリー」と呼ばれた歴史的建物に入居しており、レンガの壁や木造の天井を残しながら、新たな交流スペースや照明を加えた。ロサンゼルスのウィルシャー&サンタモニカ大通りの店舗は、ビバリーヒルズの象徴的な交差点に位置する。塗装したレンガ壁を背景に地元アーティストのインスタレーションを設け、ブランドカラーのグリーンをアクセントに配置。ラグや厚みのある座席、ベルベットのドレープが無機質な建築をやわらげ、同地の高級商業施設の配色に着想を得たアートで、街との結びつきを表現した。メキシコシティのプンタ・ノルテ店は、同国の試験導入で最初に選ばれた店舗の一つで、大型商業施設内に立地する。座席や素材、アートワークを一新し、刷新したエスプレッソバーが、一杯ごとの技を客に近づけている。

同社は、店舗の刷新と並行して、店内体験を高める施策も進めている。より personal な接客と提供時間の改善を図る「グリーン・エプロン・サービス」を導入したほか、滞在客向けにセラミックカップやグラスウェアを復活させ、コンディメントバーも再開し、電源コンセントも拡充した。同社はこうした取り組みを、試験から規模拡大への転換と位置づけ、北米、さらにその先の地域へ、より居心地のよい店舗体験を広げていくとしている。

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