トヨタ自動車の可動型マーケティング支援サービス「mobiMArt」は、株式会社Mellowと連携し、全国での出展エリア開拓を進めると2026年10月9日に発表した。出展に適したエリアを2026年末までに20拠点、2027年末までに50拠点へ拡大する計画だ。
mobiMArtは、移動できる体験空間を使って企業が会いたい人のもとへ出向く仕組みを提供するサービスだ。来場者との対話や行動データの収集・分析を通じて、商品開発やマーケティングのインサイト獲得も支援する。「価値あるものが正しく評価され、生き残っていく世界を創る」というビジョンを掲げている。
連携するMellowは、移動販売やキッチンカー向けのプラットフォーム「SHOP STOP」を運営する企業だ。オフィスビル、商業施設、マンション、公園など1,400か所以上で出店場所の開拓と運営を手がけてきた実績を持つ。
この連携で押さえておきたいのが、キッチンカー向けに積み上げた場所の基盤を、物販や体験の出展に広げる構図だ。移動販売の出店場所を確保する作業は、施設や土地の所有者との交渉、近隣への配慮、電源や動線の確認といった個別対応の積み重ねになる。1,400か所という数字は、その交渉を繰り返した結果として残る資産にあたる。同じ基盤を飲食以外の用途に使えれば、新たに一から交渉する手間を省ける形になる。
発表では、企業が生活者との接点を継続的に持つための課題として、出展場所の確保と運営体制の構築を挙げている。消費者の価値観やライフスタイルが多様化し、「商品を届けたい人がいる場所」での接点づくりが求められているという整理だ。
この課題設定は、ポップアップストアを出す側の実務と重なる。商業施設の催事スペースを押さえる場合、館ごとに窓口が異なり、空き状況や条件の確認にも時間がかかる。期間が数日から1週間程度であれば、準備にかけられる工数も限られる。場所の確保を代行する事業者が間に入る形は、出展の回数を増やしたい側にとって検討材料になる。
商業施設やオフィスビルを運営する側から見ると、別の読み方ができる。催事スペースやエントランス前の区画をどう埋めるかは、館の運営に直結する判断だ。固定の区画にテナントを入れる形では埋まらない日程に、移動可能な出展を差し込める構造になる。既にキッチンカーの受け入れ実績がある施設であれば、運用の流れも把握できている。
小売や外食の側にとっても、固定店舗を構える前の段階で使える手段として見ておきたい。新しい商品やブランドを地域ごとに試す場合、出店にかかる初期投資を抑えながら反応を確かめられる。mobiMArtが来場者との対話や行動データの収集を支援するとしている点も、売れたかどうかだけでなく、誰がどう反応したかを持ち帰る前提になる。
今後の展開として、トヨタの各種モビリティに適した出展場所を開拓し、企業が体験型マーケティングを実施しやすい環境を整えるとしている。展開を強化する場所としては、商業施設、オフィス、住宅地周辺など、生活者との自然な接点が生まれる場所を挙げている。
住宅地周辺を挙げている点は、商業施設やオフィスとは異なる性質を持つ。買い物のために外出した人ではなく、生活の動線上にいる人に接点を作る形になる。店舗を構えるには商圏が小さい地域でも、日程を限れば出向ける構造だ。
拠点数の目標については、2026年末の20拠点から2027年末の50拠点へと1年で2.5倍に増やす計画になる。