株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、北海道のセブン‐イレブンで『北海道♡宣言』を2026年10月20日に始動する。対象は北海道の991店舗(2026年9月末時点)だ。地域ごとのセブン‐イレブンのあり方を追求し、実現に向けた取り組みとして位置づけている。
この取り組みで押さえておきたいのが、原材料の調達に踏み込んでいる点だ。「米」と「小麦」の全面的な道産化を進めるとしている。ただし一部商品では道産の米や小麦を使わない場合があるという注記がある。
全国チェーンが特定の地域で主要な原材料を切り替える形は、調達の仕組みに関わってくる。米と小麦は弁当、おにぎり、パン、麺類といった幅広い商品の基礎になる原材料だ。これを道産に切り替えれば、対象となる商品の範囲は大きくなる。全国統一の調達網から外れる部分が生じるため、価格や供給の体制も個別に組む必要が出てくる。
991店舗という規模も、この判断に関わる。地域専用の原材料調達と商品開発を成立させるには、相応の販売数量が必要になる。1,000店舗近い規模であれば、専用の仕様で作っても量をまとめられる。店舗数の少ない地域で同じことを行う場合と、条件が変わる部分だ。
北海道は米と小麦の産地でもある。産地で作られたものを同じ地域で売る形になれば、輸送の距離は短くなる。一方で、全国の調達網が持つ価格の安定性からは離れることになる。
背景として挙げられているのが、環境の変化だ。人口減少や少子高齢化、地域間の賃金差や物価高により、地域ごとに異なるニーズへの対応が必要になっているという整理になる。
地域間の賃金差や物価高を理由に挙げている点は、全国で同じ品揃えと価格を組む形の限界を示している。全国のどの店でも同じ商品が同じ価格で買える構成は、チェーン運営の前提にあたる。一方で、地域によって所得の水準や物価が異なれば、同じ価格が同じ重さを持たない。
取り組みの進め方は段階を踏んでいる。2025年3月に「北海道プロジェクト」を立ち上げ、2026年3月からはサプライチェーン改革を軸とした取り組みに発展させた。そして2026年10月に『北海道♡宣言』として始動する形だ。
プロジェクトの立ち上げから約1年半をかけて宣言に至る構成は、原材料の調達を変える作業の時間を示している。産地との契約、加工の体制、商品の設計を順に組み替える必要があるため、短期間では切り替えられない。サプライチェーン改革を軸に据えた段階を挟んでいる点も、調達の変更が中心にあることを示す。
『北海道♡宣言』の内容としては、道産原材料の活用に加えて、北海道の嗜好や食文化に合わせた商品開発、情報発信、店頭での訴求を進める方針を示している。「北」と「♡」を組み合わせたシンボルマークを用いたプロモーションを展開する。
シンボルマークを作る形は、取り組みを売場で示す手段にあたる。原材料を道産に切り替えても、見た目では分からない。マークを付ければ、どの商品が対象かを棚で伝えられる。
販促面では、お笑いコンビ「錦鯉」の長谷川雅紀さんをスペシャルアンバサダーに起用する。新キャンペーンキャラクター「クラーク長谷川」として登場し、道内限定でテレビCMやオリジナルの店頭販促物を展開する予定だ。
テレビCMと販促物を道内限定とする構成は、取り組み自体が北海道に限られることと対応している。全国で同じCMを流せば、対象外の地域の客にも伝わってしまう。地域を限った企画であれば、告知も地域に限る形になる。
同社は、北海道で得た知見を全国各地の地域特性に応じた対応にも生かす考えを示している。北海道を先行する事例として扱い、他の地域への展開も視野に入れる構成だ。
地域に合わせた品揃えや原材料の調達は、売場を持つ側にとっても判断の材料になる。全国で統一する形と地域ごとに変える形のどちらを取るかは、調達の規模と地域の特性の両方で決まる。991店舗という規模で原材料の切り替えに踏み込んだ事例として、今後の動きが参考になる部分だ。