株式会社日経リサーチは、「2026年版 首都圏商業施設集客力ランキング」を発表した。調査は「施設と駅のセンサス」施設編として2026年9月中旬に実施され、1都3県の314施設について約6万2000人から回答を得ている。
首位は「ルミネ新宿」で、調査仕様を見直した2022年以降5年連続のトップとなる。「西武池袋本店」は4位に返り咲いた。同店は2023年に2位だったが、売場縮小の影響で順位を下げていた。
このランキングで押さえておきたいのが、西武池袋本店の復調の要因だ。
同社は、創業以来初の大規模リニューアルで地下の食品フロアとコスメフロアが先行オープンしたことを挙げている。「食品・惣菜の買い物」を利用目的とする割合は48%で、全施設平均を大きく上回った。
百貨店の売場構成では、地下に食品、低層階に化粧品、上層階に衣料品が配置される形が一般的にあたる。リニューアルを行う場合、どのフロアから着手するかという判断が生じる。
食品フロアを先に開ける形は、来店の頻度と関わる部分だ。食品は日常的に買う商材で、週に複数回訪れる客も生じる。惣菜であれば、その日の食事として買う形になる。
衣料品は購入の間隔が長い商材にあたる。季節ごとに買い替える客でも、来店は年に数回の形だ。
集客力を測る調査では、利用の経験や頻度が指標に入る。来店の頻度が高い売場が稼働していれば、調査の結果にも反映される構成になる。
売場縮小で順位が下がった経緯も、この構造に対応する。売場が閉じていた期間は、来店の機会が減る形だ。食品フロアが再開すれば、日常の買い物の動線が戻る構成になる。
48%という数値も見ておきたい。利用目的として「食品・惣菜の買い物」を挙げた客が約半数にあたる。
百貨店という業態は、衣料品や雑貨を扱う店として位置づけられてきた部分がある。利用目的の半数が食品に向かう形は、来店の理由が食品にあることを示す構成だ。
化粧品フロアを同時に先行させた点も、頻度と関わる。化粧品は消費して買い替える商材で、衣料品より購入の間隔が短い形になる。
街ごとの役割も分析されている。同社は東京の東側のエリアについて、利用目的の「食」と「ファッション」の2軸で街ごとの役割を整理している。
東京駅は食に特化、日本橋は食と贈答、有楽町はファッション中心、銀座は両方の要素を持つとされる。
隣接する街が異なる役割を持つ形は、商業施設の配置と関わる部分だ。同じ要素が重なれば、客は近い方を選ぶことになる。役割が分かれていれば、目的に応じて街を選ぶ形になる。
東京駅が食に特化する構成は、立地の性質と対応する。駅を利用する客は移動の途中にあり、土産や車内で食べるものを買う形だ。衣料品を買って持ち運ぶ動線とは異なる。
日本橋の食と贈答という組み合わせも、同様の整理になる。贈答品は自分が使うものではなく、渡す相手に向けて選ぶ商材だ。食品の贈答であれば、菓子や惣菜が対象になる形になる。
有楽町がファッション中心という形は、食の要素が相対的に薄いことになる。銀座が両方を持つ構成であれば、目的を1つに絞らずに回れる形だ。
小売や外食の側から見ると、この整理は出店の判断に関わる部分になる。同じ業種の店舗であっても、街の役割によって客の目的が変わる形だ。食を目的に訪れる街では、飲食や食品の売場に客が流れる構成になる。
今後の開業も示されている。「TOFROM YAESU TOWER(トフロム八重洲タワー)」は2026年9月に開業し、「YURAKUCHO PARK」と「東京ミッドタウン日本橋」は2027年中のグランドオープンが予定されている。
東京の東側で複数の施設が開業する形は、街ごとの役割にも影響する部分だ。有楽町と日本橋に新しい施設が入れば、既存の役割が変わる可能性もある構成になる。
調査の規模も見ておきたい。314施設について約6万2000人から回答を得た形で、1施設あたりでは約197人の計算になる。
施設ごとの評価を比べる調査では、各施設に一定数の回答が必要になる。回答が少なければ、順位の差が偶然によるものか判断しにくい形だ。
調査の実施は2026年9月中旬で、発表は10月23日になる。約1か月余りの間隔だ。
調査仕様の見直しが2022年に行われている点も、順位の比較と関わる。仕様が変わる前後では、数値を直接比べられない形になる。ルミネ新宿の5年連続という記録は、見直し後の期間を指す構成だ。
同社の設立は1970年10月で、2026年で56年になる。所在地は東京都千代田区内神田2丁目2番1号 鎌倉河岸ビル、代表取締役社長は田中直巳氏、資本金は3,200万円だ。事業内容は顧客満足度(CS)調査、ブランド調査、デジタルマーケティングなどの市場調査となる。