株式会社大丸松坂屋百貨店は、松坂屋静岡店で「未来をつくるオーナメントプロジェクト」を始動した。来店客から回収した衣料品の一部をアップサイクル素材として使い、静岡デザイン専門学校の学生がクリスマスオーナメントを制作する取り組みだ。

同店で2026年10月7日から12日まで実施している衣料品回収の「エコフキャンペーン」に合わせた企画になる。学生はハートや星などの形のオーナメントを制作し、完成品は館内の大型クリスマスリースや売場装飾として展示する予定だ。初日には学生が会場を訪れ、衣料品回収の現場を見学している。

進め方は3段階に分かれる。キャンペーンで回収した衣料品の一部を素材として提供し、学生がアップサイクルでオーナメントを制作し、完成品を館内に飾るという流れだ。来店客、学生、地域が一緒につくるホリデー空間を演出するとしている。

回収した品物の行き先を館内の装飾として見せる形は、取り組みを伝える手段としても機能する。回収ボックスに入れた品物がどうなるかは通常見えないが、館内に飾られていれば来店客が実際に目にすることになる。再資源化の工程を説明するより、結果を示すほうが伝わりやすい場面もある。

エコフキャンペーンの開催概要は次の通りだ。会場は松坂屋静岡店北館3階の特設会場、受付時間は午前10時から午後6時までで、最終日は午後5時に閉場する。不要になった衣料品、靴、バッグを1点持ち込むごとに500円分のエコフクーポンを進呈する。クーポンは松坂屋での買い物に使えるが、利用は税込5,500円の買い物ごとに1枚、レシート1枚につき1枚までとなる。

クーポンの使用条件を5,500円ごとに1枚としている点は、回収の受け皿を用意しながら値引きの規模を制御する設計にあたる。持ち込み点数が増えてもクーポンが一度に大量に使われることはなく、買い上げ金額に応じた還元になる。

取り組みの実績も示されている。エコフキャンペーンは2016年の開始から10年以上続いており、2026年4月の開催では参加者が前年比で約30%増えた。回収実績は2025年度が319.4トン、2016年からの累計が2,672トンとなる(いずれも2026年8月時点)。

参加者が前年比で約3割増えているという数字は、回収への参加が広がっている状況を示している。1年度で319.4トンという規模は、クーポンという還元があることと、百貨店という来店頻度の高い場所を使っていることの両方が効いた結果と読める。

地域との連携という点では、過去にも事例がある。三保松原の保全活動で集めた松ぼっくりを使ったホリデー装飾を行ってきた。地域の素材を館内の装飾に転用する形を、今回は回収衣料に広げたことになる。

同店は「地域共栄百貨店」の実現を目指しており、学生の創造性と来店客の環境活動への参加をつなげることで、循環型社会への意識を高めたいとしている。

出典:株式会社 大丸松坂屋百貨店 プレスリリース