株式会社片岡商店は、大丸東京店9階の体験型ストア「明日見世-asumise-」に学校指定バッグを2026年10月21日から2027年1月19日まで出品する。期間は91日間で、営業時間は10時から20時までだ。同社は1897年創業、1961年法人化のスクールバッグメーカーで、広島市内の中学校に約40年にわたり通学バッグを納入してきた。

この出品で押さえておきたいのが、出品に至った順序だ。

同社は2022年に自社ECを開設し、首都圏を中心に全国へ愛用者が広がった。県外での販売が伸びるにつれ、「東京で実物を見られる場所はないか」という問い合わせが増えたことが出品の理由とされる。

通常の流れでは、実店舗での販売が先にあり、その後にECが加わる。すでに店舗で扱っている商品をオンラインでも売る形になる。

このケースは順序が逆になる。ECで商品が知られた後に、実物を確認できる場所を求められた形だ。

バッグは容量と質感を確認したい商材にあたる。寸法が記載されていても、A4の書類がどう収まるか、肩にかけた際の感触がどうかは画像では分からない。縫製や素材の厚みも、手に取らなければ判断しにくい部分だ。

ECで認知が広がれば、この確認を求める声も増える。実店舗が確認の場として必要になる構造になる。

出品の形も、この性質に対応している。6シリーズのうち、展示と販売を行うのは2つ、展示のみが4つという構成だ。

展示と販売を行うのは、「さよなら紙袋」(全7色、A4書類や14インチPCが入る)と、リュック型スクールバッグ「こいのぼり」(己斐中学校の生徒の声をもとに開発)となる。

展示のみは、「女子高トートバッグ」(廃番からリバイバルした商品)、「3wayスクールバッグ」(カメラバッグとしても人気)、「米袋のトートバッグ」(30kgの米にも耐える)、広島電鉄の旧制服を再利用したサコッシュとペンケースだ。

展示のみの商品は、その場では買えない形になる。客は実物を見て判断し、購入はECで行うことになる。

この構成は、商品の性質と関わってくる。廃番からリバイバルした商品や、広島電鉄の旧制服を再利用した商品は、素材や数量に制約がある。量産して店頭に並べる形が取りにくい商材だ。

売る場としてではなく、見せる場として売場を使う形になる。百貨店の区画に在庫を置かずに商品を示し、購入はオンラインで受ける構成だ。在庫の負担を抱えずに実物を見せられる一方、その場での購入は発生しない。

商材の性質も見ておきたい。学校指定のバッグは、使われ方が過酷な部類に入る。

生徒は毎日通学で使い、教科書や資料を入れて持ち運ぶ。期間は3年間にわたる。「こいのぼり」の開発では、通学に片道45分かかる生徒がいる環境が前提とされている。

同社は「広島の中学生に鍛えられた」という表現を使っている。実際に使われる環境で改良を重ねる形は、耐久性の検証が実使用で行われていることになる。

耐久性を示す数値も挙げられている。3wayスクールバッグについては、ある学校で新入生の約30%がお下がりを利用しているとされる。3人に1人に近い水準だ。

お下がりが成立するには、3年間使った後も次の生徒が使える状態である必要がある。実質的に6年以上の使用に耐える形になる。

メーカーの立場から見ると、この数字は両面を持つ。耐久性の証明になる一方、お下がりで済む分は新品の販売が発生しない。製品が長く使えることが、売上の機会を減らす構造だ。

一般の商材でも、耐久性と買い替えの頻度は関係する。長く使える商品は評価される一方、買い替えまでの期間が延びる。学校指定品のように同じ用途で引き継がれる商材では、この関係が数字として表れる形になる。

海外での販売もある。米袋のトートバッグは、オーストラリアで約1万円で販売されているとされる。30kgの米に耐える仕様が、別の市場でも評価される形だ。

期間の設定も見ておきたい。10月21日から2027年1月19日までの91日間は、クリスマスと年始を含む。

片岡勧社長は、通勤用、クリスマスやお年始の贈り物、帰省土産、子どものスクールバッグの検討者に来場を呼びかけている。

学校指定のバッグという出発点を持つ商品が、通勤や贈り物という用途で示される形になる。耐久性を前提とした作りであれば、通学以外の場面でも使える構成だ。

出品される商品はすべて日本製で、価格は商品ごとのリンク先で確認する形になる。

出典:株式会社片岡商店 プレスリリース