株式会社FUJIは、株式会社ニトリと連携し、ニトリ環八用賀店(東京都世田谷区)でスマートロッカーシステム「Quist(クイスト)」を活用した実証実験を開始した。注文された商品を店舗で受け渡す運用の有効性と、顧客の利便性向上を検証する。

この実験で押さえておきたいのが、オンライン注文の最後の工程に人手が残る構造だ。

同社は現状の課題として、店舗受取り商品がバックヤードや保管棚で管理されており、来店時にスタッフが商品を取り出して渡すため受渡しに時間がかかり、混雑時には顧客を待たせることがあると説明している。

店舗受取のサービスでは、商品の選択と決済がオンラインで完結する。注文を受けた店舗は商品を用意し、客が来店した時点で渡すことになる。

この最後の工程だけは、人が対応する形で残る。客が来てから商品を探し、本人を確認して渡す流れになるため、オンラインで完結した部分とは別の時間が発生する。

混雑する時間帯には、この作業が他の業務と重なる。レジや売場の対応をしながら受取の客にも対応することになり、待ち時間が生じる形だ。

ロッカーを使う構成では、この工程の性質が変わる。客が直接ロッカーから商品を受け取る形であれば、スタッフの作業は商品をロッカーに入れる段階で終わる。

作業のタイミングも変わってくる。現状の形では、客が来た時点で作業が発生する。ロッカーであれば、事前に入れておく形になるため、スタッフは手が空いている時間に作業できる。

FUJIはQuistを、「受け渡す側」と「受け取る側」の時間差を埋める省人化・無人化ツールと位置づけている。作業の総量が減るのではなく、作業する時間を選べるようになる構成だ。

受渡しの方法は、バーコード・QRコードを使う形になる。客が提示したコードでロッカーが開く仕組みであれば、スタッフによる本人確認も不要になる。

検証の項目も示されている。ロッカー受取りの運用適合性、顧客の利便性評価、店舗業務の効率化効果の測定に加えて、Quistでの受取りに適したサービス・商品の選定についても評価するとしている。

商品の選定という項目は、扱う商材の性質に関わってくる。

ニトリは家具・インテリアを扱う業態にあたる。食器や収納用品、寝具の小物であればロッカーに入る寸法だが、ソファやベッド、大型の収納家具は入らない。

ロッカー受取を導入する場合、対象になる商品は寸法で限られる形になる。全商品を対象にはできないため、どの範囲までを受取の対象にするかという判断が生じる。

実証実験でこの点を評価項目に入れている構成は、導入の前提として寸法の条件を確認する形と読める。小物が中心の注文であれば効果が出るが、大型商品の割合が高ければロッカーの稼働は限られる。

Quistの仕様も見ておきたい。クラウドによるリアルタイムのロッカー管理・監視に対応し、各種システムとのデータ連携ができるインターフェースを備える。

設置の条件にも幅がある。IPX4の防水性能を備え、耐震・耐風試験も実施済みのため屋外設置にも対応する。

屋外に置ける形は、受取の時間に関わる部分だ。店内に設置する場合、受け取れるのは営業時間内に限られる。屋外であれば、閉店後の受取も成立する形になる。

ロッカーユニットの増設も可能で、冷蔵・冷凍ユニットも用意されている。冷蔵・冷凍に対応する形であれば、食品を扱う業態でも使える構成だ。常温の商品に限る場合と比べて、対象となる商材が広がる。

外装はブランドに合わせたラッピングが可能とされている。店舗の外観や館内の意匠に合わせる形で、設備としての見え方を調整できる部分だ。

FUJIは1959年4月の設立で、電子部品実装ロボット・工作機械の開発、製造、販売を手がける。設立から67年にあたり、産業用の機械を本業とする企業がロッカーの分野に展開する形になる。

同社は、労働力不足、物流課題、働き方改革への対応として、保管・管理ニーズにも応える製品開発を進めるとしている。

出典:株式会社FUJI プレスリリース