イオン株式会社、イオングローバルSCM株式会社、株式会社Mujinは、「物流構造改革」の次世代自動化モデルセンターとして「イオン川口東XD」を2026年10月29日に本稼働させた。所在地は埼玉県川口市になる。

今回のセンターでは、仕分けから混載積み付けまでの一連の工程をイオンで初めて自動化した。導入されたのは「フィジカルAIを活用した混載パレタイズロボット+ケース順立てシャトルラック」と「WES(倉庫運用管理システム)」で、都市型の小型食品スーパー向けに求められる複雑な店舗別出荷に対応する。

3社は2023年10月に発表したパートナーシップに基づいて取り組んできた。2024年7月に稼働した「イオン福岡XD」では自動倉庫からの出庫とソーター投入までの工程を自動化しており、パートナーシップの発表から9か月後にあたる。今回の川口東XDは発表から3年後、福岡XDからは約2年4か月後になる。

この稼働で押さえておきたいのが、対象を都市型の小型食品スーパー向けとしている点だ。店舗の規模が小さくなると、1店あたりの発注量は減るが扱う品目の数は減らない部分がある。大型店向けであれば1品目で1パレットを組める量が出る形だが、小型店では1品目あたりの数が少なくなり、複数の品目を1つのパレットやカートラックに混ぜて積む必要が生じる。これが混載にあたる。店舗のフォーマットが小型化すると物流センターの作業が複雑になる関係で、店舗戦略が物流の難易度を押し上げる構造になる。

混載積み付けが自動化の難所だった理由も示されている。商品のサイズや重量、組み合わせが出荷のたびに異なる形で、同じ手順を繰り返す作業にならない部分がある。さらに積み付けの途中で位置ずれや荷崩れが起きると積載の状態そのものが変わる構成だ。あらかじめ決めた動作を繰り返す設備では対応できない工程にあたり、人手に依存してきた形になる。同社はこの工程を身体的な負担の大きい作業と位置づけている。

対応の仕組みは2段階だ。出荷オーダーに応じて積み付けを事前にシミュレーションし、積載効率の高い計画を立てる。実行中は3Dビジョンで積載状態を認識し、位置ずれや荷崩れが起きた場合はその時点の状態に応じてロボットの動作を制御しながら作業を続ける。計画どおりに動かすのではなく、現場の状態を読み取って計画を調整する構成だ。同社は事前のシミュレーションと現場の物理環境をリアルタイムにつなぐ仕組みをフィジカルAIとしている。

自動化の効果が出る領域の選び方も見ておきたい。同社は仕分けと混載積み付けについて、センター作業に占める作業人時の割合が大きい領域だとしている。自動化は設備の投資を伴う形で、どの工程に入れるかによって効果が変わる部分がある。作業人時の多い工程から着手する形であれば、投資に対する効果が出やすい構成になる。福岡XDで出庫とソーター投入を自動化し、川口東XDで仕分けから積み付けまでを自動化する流れは、工程の下流に進む形だ。

WESの役割は設備と人をつなぐ部分にある。ロボットアーム、AGV、シャトルといった自動化設備に加えて、ハンディ端末を通じた作業者への指示も一元的に管理する構成だ。店舗ごとの出荷情報や締切時刻に応じて、商品の供給順序、設備の動作、作業者への指示を管理する形になる。物流センターの作業を全て自動化する形ではなく、設備が担う工程と人が担う工程が混在する構成で、両者の進行を揃える仕組みが必要になる部分だ。

可視化の範囲も示されている。出荷の進捗、処理の実績、ロボットアームやAGVの稼働率と処理量、作業の予定と完了状況がリアルタイムに表示される形だ。設備の稼働率が見える構成であれば、能力に対してどれだけ使えているかが分かる部分がある。設備を導入しても稼働率が低ければ投資に見合わない形で、運用の段階でこの数字を追う必要が生じる。

導入された設備は4種類になる。「ケース順立てシャトルラック」は出荷の優先順位に応じて商品を正確な順序で高速出庫する設備だ。「混載デパレタイズロボット」はトータルピック後に投入された混載パレットをマスターレスで認識して自動で荷下ろしする。「混載パレタイズロボット」は複数SKUのケースとオリコンを最適積み付け計算に基づいて店舗別に積み付ける。「AGV・DPS連携型の定点ピッキング」は無人搬送車とデジタルピッキングを組み合わせ、作業者の歩行を大幅に低減する形だ。

歩行の低減という点も作業の内容と関わる。ピッキングの作業では商品を取る動作よりも移動の時間が占める割合が大きくなる場合がある。作業者が棚まで歩く形ではセンターの広さが時間に反映される構成だが、AGVが商品を運んでくる形であれば作業者は定位置で作業できる形になる。

イオンは物流を取り巻く課題や脱炭素、インフレへの対応を見据えて安定的で持続可能な物流体制の構築を進めており、今回のセンターをその次世代自動化モデルと位置づけている。

出典:株式会社Mujin プレスリリース