株式会社ユーハイムは、冷蔵ケーキ「チーズタルト」を2026年10月30日に発売した。直径15cmのホールタイプで、価格は1,836円(税込)になる。販売はユーハイム冷蔵ケーキ取扱い店舗で、一部除外がある。
使われるチーズは安定剤不使用のフロマージュブランとクリームチーズで、配合はクリームチーズ1に対してフロマージュブラン2の比率だ。高温で短時間焼き上げることで、口どけなめらかでとろりとした食感に仕上げたとしている。特定原材料等は小麦、卵、乳になる。
チーズはフランスのサヴァンシア社との共同開発だ。同社の日本の拠点のひとつであるあづみ野工場(長野県安曇野)で、ユーハイム専用の安定剤不使用オリジナルチーズとしてクリームチーズとフロマージュブランの2種類が作られた。原料にはフランス産ナチュラルチーズが使われている。
同社は1969年から「食品添加物に頼らないお菓子作り」を掲げており、近年は「/0(スラッシュゼロ)」という表現で取り組みを強化している。食品表示の原材料名で「/」以降の添加物表記がないことを指し、製造工程で食品添加物を使っていない証とされる。
この商品で押さえておきたいのが、チーズを専用に開発する必要があった構造だ。市販のクリームチーズには品質を保つために安定剤が使われている形が多く、既製の原料を使えばその添加物が最終商品の表示に残る構成になる。菓子の製造工程で添加物を使わなくても、原料の段階で入っていれば原材料名に表記される形だ。「/」以降に何も書かない状態を作るには、原料そのものを添加物なしで調達する必要がある構成になる。乳業メーカーと組んで専用のチーズを作る形は、この条件に対応するための工程と読める。菓子メーカーが原料の仕様まで遡って決める形で、調達の難易度が上がる構成だ。
2種のチーズの使い方も商品ごとに分かれている。今回のチーズタルトはクリームチーズ1に対してフロマージュブラン2で、クリームチーズが約33.3%、フロマージュブランが約66.7%の計算になる。一方で既発売の冷蔵「ベイクドチーズケーキ」はクリームチーズ2に対してフロマージュブラン1で、クリームチーズが約66.7%、フロマージュブランが約33.3%だ。2商品で比率が完全に逆になる構成だ。同じ2種の原料を使いながら、配合を入れ替えることで別の商品にする形になる。フロマージュブランは水分が多いフレッシュチーズ、クリームチーズは脂肪分が高い形で、どちらを多くするかで食感と味が変わる部分がある。
3商品を並べると原料の使い方の幅が見える。チーズタルトが1対2、ベイクドチーズケーキが2対1、8月発売の個包装ギフト「チーズケーキ」はオリジナルクリームチーズを全体の30%配合という形だ。前の2つは2種のチーズの比率で設計し、個包装ギフトは生地全体に対する配合率で示す構成になる。個包装ギフトは常温で日持ちする商材で、冷蔵の2商品とは流通の条件が異なる形だ。同じ専用チーズを冷蔵と常温の両方で使う構成になる。
「/0」という表現の作り方も訴求として特徴がある。食品表示では原材料と添加物を「/」で区切って表示する形があり、この記号は表示のルールに由来する部分だ。客が商品を手に取って裏面を見たときに、「/」の後に何も書かれていない状態が目に入る構成になる。添加物不使用という言葉で説明するのではなく、表示そのものを見てもらう形だ。売場では商品の裏面を確認する客が一定数いる商材で、この確認が訴求と一致する構成になる。一方で表示のルールを知らなければ「/」の意味は伝わりにくい形で、売場やパッケージでの説明が必要になる部分がある。
価格の設定も検算できる。税込1,836円を1.08で割ると1,700円ちょうどになり、軽減税率8%の対象として税抜で区切りのよい金額が設定された形だ。1.1で割ると約1,669.09円で端数が出るため、8%を前提に税抜1,700円から決めた構成になる。直径15cmのホールは面積が約176.71平方センチメートルで、1平方センチメートルあたり約10.39円の計算だ。8等分すれば1切れ229.5円、6等分なら306円になる。
共同開発先の規模も示されている。サヴァンシア社はチーズ市場でフランス第2位、世界第5位とされ、31カ国に拠点を持ち120カ国で製品を販売している。販売する国の数は拠点のある国の約3.87倍で、89カ国は拠点を持たずに販売する形だ。日本の拠点のひとつであるあづみ野工場で開発が行われた構成で、国内に製造の拠点がある形になる。輸入ではなく国内で作る形であれば、仕様の調整や試作のやり取りが進めやすい部分がある。
取り組みの期間も長い。1969年から「食品添加物に頼らないお菓子作り」を掲げており、2026年で57年になる。同社の創業者カール・ユーハイムが1919年に広島の物産陳列館(現 原爆ドーム)で日本初のバウムクーヘンを販売してから2026年で107年、1919年から1969年までは50年の計算だ。創業から50年の時点で添加物に頼らない方針を立て、そこからさらに57年が経過している構成になる。
沿革には短い間隔での移転も含まれる。1919年の広島での販売から3年後の1922年に横浜で開店し、その1年後の1923年に神戸へ移っている。横浜での営業は1年という形だ。同社の本社は兵庫県神戸市中央区港島中町、代表取締役社長は河本英雄氏になる。