急速凍結機を手掛ける株式会社ゼロカラは、北海道旭川市の株式会社米谷産業への凍結機導入事例を2026年8月4日に公表した。老朽化した凍結機からの切り替えにより品質と生産性が向上し、現在は牛内臓だけで月間約300トン、年間約4,000トンを取り扱う規模にまで拡大しているという。

米谷産業は1954年創業の食肉加工会社で、牛タンと内臓を中心に、外食チェーン、焼肉店、スーパーマーケット、生協など幅広い販路へ製品を供給してきた。液体凍結との出会いは約20年前で、牛タン加工のために中古の凍結機を導入したのが始まりだった。その後、機械の老朽化により凍結効率が低下し、拡大する需要に生産能力が追いつかなくなっていたという。増産と凍結品質の向上を目的に、2019年に液体急速凍結機への切り替えに至った。

導入によって、近隣の食肉センターから届く新鮮な内臓を断続的に加工し、真空包装して急速凍結する体制が整った。従来の凍結機では生産量にまったく追いつかなかった状態から、1日あたり約1トンの原料を安定して処理できる体制へと変わったとしている。長年培ってきた加工・解凍技術や商品開発力に、ドリップの出ない急速凍結技術が加わったことで、付加価値をつけた加工凍結食品の販路も広がった。

この事例で注目したいのが、冷凍在庫が取引先の営業機会そのものを支えているという点だ。生鮮原料が手に入りにくい土日でも、高品質な冷凍在庫を持つことで取引先の焼肉店が営業を継続できるようになったという声が寄せられている。単なる食材供給にとどまらず、取引先の事業継続を支える役割を担っている形だ。

冷凍という手段は、これまで品質面で妥協を伴うものと受け止められがちだった。解凍時にドリップが出れば旨味と食感が損なわれるためだ。その前提が変われば、話は逆になる。休市日や仕入れが不安定な日でも、質を落とさずに営業できる在庫を持てるということになる。仕入れの安定を求める飲食店にとっては、営業日数と機会損失に直結する話といえる。

品質については、自社の店舗でも実証されている。米谷産業が運営する鉄板焼き店「鉄板焼 旭人」では、この凍結機で凍結し5食パックにした和牛ステーキやホルモンを、店舗で解凍して提供している。ドリップが出ないため味が落ちず、外食の現場で日々その品質を確認しているという。加工業者が自ら飲食店を運営し、そこで自社製品を提供して検証するという構図は、取引先に対する説得力にもつながる。

販路も広がった。全国、とくに北海道内のスーパーマーケットや外食チェーンへの供給に加え、生協向けにもオリジナル商品を展開しており、定番商品として定着しているものもあるという。牛タンや内臓は部位ごとの下処理に手間がかかるうえ、扱いに慣れた人手も必要になる。加工済みで品質の保たれた冷凍品が供給されることは、精肉売場や焼肉店にとって作業工程を減らす手段になる。

また、この事例では設備の更新が生産量の拡大に直結している点も見逃せない。20年前の中古機を使い続けた結果、凍結効率が落ちて需要に応えられなくなっていた。設備の老朽化は、故障するまで気づきにくい形で生産能力をじわじわと削っていく。

今後については、加工と配送の人員不足が加速する外食・小売業界からの、加工済みの高品位な冷凍食材への需要がさらに高まると見込んでいる。食材の品質向上に加え、メニュー開発や販促企画といった直営事業で培った店舗運営のノウハウも併せて提供していく方針だ。

この見通しは、店舗を運営する側の実感とも重なる部分がある。人手が足りない状況では、店内で下処理から行う工程は負担になる。品質を保った加工済み冷凍食材が手に入れば、調理工程を短縮しながら仕上がりの水準を保てる。仕込みの人員を確保しにくい店舗ほど、選択肢として検討する価値がある。

なおゼロカラは神奈川県横浜市に本社を置き、2017年11月に設立された。併設のキッチンで、食材を持ち込むか郵送する形での凍結テストと試食の提供に対応している。購入にあたっては助成金の取得やリースにも対応し、大型機の取り扱いもあるため大量生産にも応じられるとしている。導入を検討する場合、自社の食材で実際に試したうえで判断できる仕組みが用意されている点は押さえておきたい。