簡易食品容器の国内最大手メーカーである株式会社エフピコと、鮮魚専門店を展開する中島水産株式会社は、エコ製品の積極的な使用によりCO2排出量の削減を推進する「エコストア協働宣言」を2026年9月1日に発表した。対象は、関東地区を中心に展開する63店舗と、東南アジアを中心とした7か国に展開する91店舗となる。
使用するのは、エフピコのエコ製品である「エコトレー」と「エコAPET」だ。同社は「エフピコ方式のリサイクル」として、使用済み食品トレーを新たな食品トレーに生まれ変わらせる「トレーtoトレー」と、使用済みペットボトルを回収して新たな透明容器にする「ボトルto透明容器」の2つの循環を運用しており、そこからこれらのエコ製品が製造される。
数字も明示されている。中島水産は2026年3月期に125トンのCO2排出量を削減した。今後は提供する刺身や寿司などの商品において、従来の容器からエコ製品への切り替えをさらに推進し、2027年3月期には150トンの削減を目指すという。
鮮魚専門店という業態でこの取り組みを進める点には、実務上の意味がある。刺身や寿司は容器の使用量が多く、透明性や強度など容器に求められる条件も厳しい。見た目が売上に直結する商品であるため、素材を変えることで見え方が変わってはならない。エコ製品への切り替えが刺身や寿司にまで及ぶということは、その水準を満たせるようになったということでもある。
対象店舗の広さも目を引く。国内の63店舗に加え、東南アジアを中心とした7か国の91店舗が含まれており、海外店舗のほうが数が多い。容器の調達は国や地域によって事情が異なるため、海外店舗まで同じ取り組みを広げるには供給網の整備が前提になる。
もう1つの柱が、店頭での啓発活動だ。両社は、取り組みを消費者に広く伝えるため、店舗においてCO2削減実績を記載した啓発ポスターの掲示などを行う。今後は店頭での情報発信を通じて、地域とともに環境意識を育みながら、持続可能な循環型社会の実現に貢献するとしている。
ここで注目したいのが、削減実績という具体的な数字をポスターに載せるという点だ。環境への取り組みは、抽象的な表現にとどまると来店客に伝わりにくい。125トンや150トンという数字を示すことで、何をどれだけ達成したのかが分かる形になる。売場での訴求としては、宣言よりも実績のほうが説得力を持つ。
実績を毎年更新していく形になる点も特徴だ。125トンから150トンへという目標の立て方は、前年比で2割増にあたる。切り替えを進める容器の種類や対象商品を広げていくことで達成する構図であり、進捗が数字で追える。
エコ製品を使うという行為は、店舗側から見れば仕入れる容器を切り替えるだけの話でもある。設備投資も、オペレーションの変更も基本的には発生しない。それでいて、削減量を数字として示せる。取り組みやすさと訴求のしやすさが両立している点が、この種の協働が広がっている理由といえそうだ。
一方で、価格面の条件は示されていない。再生原料を使った容器が従来品と同等の価格なのか、割高なのかによって、導入の判断は変わる。検討する場合は、そこを含めた確認が必要になる。
啓発ポスターの掲示という手法は、費用をかけずに始められる点でも扱いやすい。売場に掲示するだけであれば、什器の変更も動線の見直しも必要ない。取り組みを始めた段階から、その事実を伝える手段を持てる。
中島水産は1951年10月設立で、「おいしいおさかな」を提供し続けることにより、人々の健康と豊かな食文化の実現に貢献するという経営方針を掲げている。時代が求める健康的で新しい魚食の在り方を世界へ発信するとしており、国内だけでなく東南アジアでも店舗を展開している点が特徴だ。今回の宣言が海外91店舗も対象に含まれているのは、その事業構造を反映したものといえる。
両社は本宣言を通じて、地域の環境負荷低減と地上資源の有効活用を推進し、持続可能な社会の構築に寄与するとしている。