米アマゾン(Amazon、NASDAQ:AMZN)は2026年9月21日、配送業務を委託する個人事業主向け制度「デリバリー・サービス・パートナー(DSP)プログラム」に対し、2027年に向けてさらに19億ドルを追加投資すると発表した。同プログラムは開始から8年間で累計217億ドルの投資規模となっており、今回の投資により、配送員(デリバリー・アソシエート、DA)の全米平均時給を約24ドル近くまで引き上げる後押しとなるという。発表は、アマゾンの輸送部門バイスプレジデントを務めるベリル・トメイ氏によるブログ形式の文書として公開された。

トメイ氏は、米国とカナダ各地からDSPオーナーが集う年次カンファレンス「イグナイト・ライブ」がラスベガスで開催されたことに触れつつ、今後の投資方針を紹介している。安全面では、アマゾンは2022年以降、DSPオーナーとそのチームを対象とした安全対策・プログラム・技術に累計5億4300万ドル超を投じてきたとし、こうした投資とDSPオーナー自身の安全管理の取り組みが相まって、昨年は重大な車両事故件数がネットワーク全体で23%以上減少したと説明した。今後は、車両周囲の車・自転車・歩行者を検知してドライバーに知らせる新型の全方位カメラを導入し、年内にリヴィアン製の電気配送車の50%に搭載する計画のほか、配送アプリ上でリアルタイムの事故・通行止め・工事情報を通知する動的ハザードアラート機能の追加、悪天候時や危険検知時にドライバーの操作なしで自動的にルートを調整する機能なども展開するとした。また、ネットラダイン社の車載安全カメラで得られるデータをAIでさらに高度に分析し、事故につながりやすい運転傾向を特定してDSPオーナーに提供することで、早期の指導に役立ててもらうとしている。

賃金面では、過去3年間の投資により、DSPオーナーによる運転手の賃上げは全米平均で16%に達したとみられ、今回の追加投資を通じて平均時給はさらに約1ドル上昇し、24ドル近くになる見通しだという。全DSPが常勤の配送員に医療保険と有給休暇を提供しており、多くが401(k)退職金制度や学費補助なども導入しているとしている。

技術面では、生成AIを活用した地図作成技術「ウェルスプリング(Wellspring)」が配送のたびに学習を重ね、2024年以降で駐車可能場所2億200万カ所、建物の出入口280万カ所、メールルーム・宅配ロッカー8万5000カ所を特定・地図化してきたと紹介。さらに、2025年に導入したAI搭載のウェアラブル端末「アマゾン・スマート・デリバリー・グラス」についても、LEDヘッドランプやハンズフリースキャン、住所の事前確認機能などを追加しつつ導入を拡大し、2027年末までに配備台数を2万台以上に増やす計画だとしている。

地域社会への貢献策としては、今後5年間でDSP主導のコミュニティ活動に7000万ドルを投じる方針を表明。非営利団体への寄付物資の輸送を担う「アマゾン・ローカル・グッド」の取り組みでは、2025年だけでDSPが4800ルートを運行し、生活必需品800万点超、食事400万食超を届けたとし、今後5年間で必需品・食事を合わせて1億5000万点以上の輸送を見込むとしている。また、新学期を支援する「トゥギャザー・ウィー・ギブ・バック・トゥ・スクール」キャンペーンでは、児童・生徒10万人超と教員1000人超を対象に、学用品100万点以上を寄付しているという。

トメイ氏は、DSPプログラムが開始から8年で単なる配送ネットワークにとどまらない存在に成長し、各地域で実質的な経済機会を生み出す数千の中小事業者の集合体になったと総括し、DSPオーナーとその配送員一人ひとりの日々の献身に謝意を示してブログを締めくくっている。

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