株式会社三越伊勢丹イノベーションズは、日本酒ブランド「IWA」を展開する株式会社白岩と資本業務提携契約を締結した。三越伊勢丹グループの店舗、外商、デジタルサービスなどと、白岩の酒造りや国際的なネットワークを組み合わせ、商品の販売と体験企画の両面で連携する。
具体的には、伊勢丹新宿店、日本橋三越本店、JR京都伊勢丹、岩田屋本店をはじめとするグループ各店や法人外商で、IWAの取り扱いを順次強化する。あわせて、クイーンズ伊勢丹や海外店舗など、グループ内の複数の販売拠点での展開を進める。
販売以外の分野では、白岩が持つ海外のネットワークを活用した特別企画を計画している。三越伊勢丹グループの旅行・レストランなどの関連事業とも連携し、IWAに触れる体験の場を設ける方針だ。
白岩は、リシャール・ジョフロワ氏が2019年に富山県立山町で設立した酒造会社。ジョフロワ氏は、1990年から2018年までドン ペリニヨンの第5代シェフ・ド・カーヴ(醸造最高責任者)を務めた。現在は白岩の創立者・醸造家として、日本酒づくりに携わっている。
同社が製造する「IWA 5」は、ジョフロワ氏の経験を生かした「アッサンブラージュ」によって生み出される日本酒。発表によると、世界のミシュラン星付きレストランや、航空会社の上位クラスでも採用されている。白岩の本社は富山県中新川郡立山町にあり、代表取締役社長はシャルル・アントワン・ピカール氏が務める。
三越伊勢丹イノベーションズは、グループの新規事業創出やCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)機能を担う会社。今回の提携では、白岩の株主として中長期的な成長を支援する。三越伊勢丹グループは、全国8エリアの百貨店網に加え、旅行やレストランなどの関連事業を展開している。
提携の目的には、顧客への商品・体験の提供、白岩の販路と収益機会の拡大、次世代の作り手や産地への支援を掲げた。取り組みから生まれる収益の一部を次世代の作り手や産地に再投資し、伝統産業の担い手づくりにつなげるとしている。
両社は提携の背景として、日本酒の海外での認知や需要が高まる一方、国内市場の長期的な縮小、人材不足、事業承継といった課題があると説明している。店舗や顧客との接点を使い、日本酒を起点に伝統産業と地域の作り手を支える方針だ。
三越伊勢丹イノベーションズの額田純嗣代表取締役は、百貨店の顧客基盤と体験の場を組み合わせ、そこで生まれた価値を作り手や産地へ還元する考えを示した。白岩のピカール社長は、富山県立山町を拠点に世界への挑戦を続け、提携を通じてIWAを届ける相手を広げたいとしている。
今後は、IWAを通じた販売や体験企画で得た知見を、ほかの伝統産業や地域の作り手への取り組みにも広げる計画だ。