株式会社MS&Consultingは、成城石井が同社の覆面調査「ミステリーショッピングリサーチ」をCX(顧客体験)向上の取り組みに活用していると公表した。
成城石井のCX本部 CX推進部長 兼 マーケティング部長の荻巣氏は、CXを店舗だけの課題と考えず、商品の認知から購入、食卓での楽しみ方までを一連の体験として捉えていると述べている。調査で得た顧客の声は、商品、店舗運営、製造、マーケティングなど複数の部門で共有され、商品改良や売場づくりに使われている。
この事例で押さえておきたいのが、調査結果の使い道だ。
覆面調査は一般に、接客の質や店舗の状態を外から評価する手段として使われる。接客の対応、売場の清潔さ、品揃えの状況といった項目を確認し、店舗運営の改善につなげる形だ。この場合、結果を受け取るのは店舗運営に関わる部門になる。
一方、商品改良や売場づくりに使う形では、受け取る部門が広がる。商品部門であれば味や内容の見直し、製造部門であれば作り方の調整、マーケティング部門であれば伝え方の検討につながる。同じ調査から、それぞれの部門が別の判断材料を取り出す構成になる。
この使い方が成立する背景には、同社の事業の構成がある。成城石井はスーパーマーケットに加えて、輸入、卸売販売、食品製造、飲食店の事業を手がけている。
小売と製造の両方を持つ点が、調査結果の扱いに関わってくる。仕入れた商品を売るだけの形であれば、顧客の声を受けても自社で中身を変えることはできない。メーカーに伝えて改良を待つ流れになる。自社で製造している商品であれば、味や配合を直接見直せる。調査で得た声が商品の改良に直結する構造だ。
「食卓での楽しみ方まで」を体験に含める捉え方も、自社製造の商品を持つことと噛み合う。店を出た後に客がどう食べたかは、店舗の運営からは見えない部分にあたる。一方、その情報が商品の改良につながるなら、集める意味が出てくる。どう調理されたか、何と一緒に食べられたかが分かれば、商品の設計にも反映できる。
購入前の段階を含めている点も見ておきたい。商品の認知から体験として捉える形は、店に来る前の情報の受け取り方も対象に入れることになる。売場に並べた時点で初めて客と接するのではなく、その前の段階から一連の流れとして扱う構成だ。
調査の仕組みについても説明がある。ミステリーショッピングリサーチは全国62万人の一般消費者モニターパネルを使い、店舗の主要ターゲットに合ったモニターに調査を依頼できるとしている。業界No.1の評価とモニター数は、いずれも2026年2月末時点の比較と数値によるものだ。累計で1,000社以上が利用している。
モニターを属性で選べる形は、調査の設計に関わる部分になる。誰が調査しても同じ結果が出るわけではなく、その店の主要な客層に近い人が見た方が、実際の客の受け取り方に近づく。接客の評価であれば誰が見ても分かる項目もあるが、商品の味や売場の分かりやすさは、評価する人の属性によって変わってくる。
複数部門で情報を共有する体制についても、運営の形として読める。調査の結果が特定の部門にとどまれば、その部門の範囲でしか改善できない。部門をまたいで共有すれば、商品と売場と伝え方を揃えて見直せる。一方で、同じ情報を複数の部門が使う形にするには、誰がどう整理して配るかという作業も必要になる。
MS&Consultingは東京都中央区に本社を置き、顧客満足度と従業員エンゲージメント向上のための経営コンサルティングを手がけている。覆面調査「ミステリーショッピングリサーチ」を主力サービスとしている。
成城石井の本社は神奈川県横浜市にある。