株式会社髙島屋は、「高島屋美術部創設120年記念『モリムラさんは百貨店で考えた。美術には暮らしがよく似あう。』」展を2027年3月4日から3月22日まで日本橋高島屋S.C.本館8階ホールで、3月25日から4月12日まで大阪高島屋7階グランドホールで開催する(大阪会場は予定)。会期はいずれも19日間だ。

入場料(予定)は一般1,800円、大・高校生1,000円、中学生以下無料となる。総合監修・ディレクターは現代美術家の森村泰昌氏、キュレーターは林綾野氏、展示デザインは吉野弘氏だ。

この展覧会で押さえておきたいのが、百貨店が自社の歴史を展示の対象にする構成だ。

テーマは「美術」「暮らし」「百貨店」で、髙島屋が衣・食・住を通じて美のある暮らしを提案してきた歴史を振り返る内容とされる。展示には森村氏の新作に加えて、高島屋史料館などの所蔵作品やアーカイブ資料が並ぶ。

百貨店の美術部は、商品として美術品を扱う部門にあたる。衣料品や食品とは異なり、1点ごとに価格が違い、同じものを仕入れ直すこともできない。在庫の性質も、回転を前提とする商材とは別になる。

同社の美術部の起源は1909年の「現代名家百幅画会」にあり、これが本格的な美術品取扱いの始まりとされる。明治から続く部門という位置づけだ。

その歴史を展示する形は、売場の記録を公開することになる。高島屋史料館の所蔵作品とアーカイブ資料が使われるため、過去にどのような作品を扱い、どう見せてきたかという内容が含まれる構成だ。

見どころの1つとして、当時の展示風景を再現したジオラマが挙げられている。過去の売場の様子を立体で示す形になる。

売場の見せ方は、その時代の客の見方や建物の条件によって変わる部分だ。現在の展示と過去の展示を並べれば、その違いが見える構成になる。

同社は見どころとして、百貨店が日常の中で育んできた美的文化の役割を問い直す内容も挙げている。

美術館が美術品を展示する形と、百貨店が美術品を売る形は性質が異なる。美術館では見ることが目的になるが、百貨店では客が買って持ち帰ることになる。暮らしの中に置かれる前提で選ばれる形だ。

衣・食・住の商品と同じ建物で美術品を扱う構成であれば、客は買い物の動線の中で作品を見ることになる。専門の画廊に足を運ぶ形とは、接し方が変わる部分だ。

展示の構成も見ておきたい。森村氏が名画に扮したセルフポートレイトや新作、当時の展示風景を再現したジオラマなどで、過去と現代を交差させる内容とされる。

さらに森村氏の選定により、シャルロット・ペリアン、ル・コルビュジエ、藤田嗣治、与謝野晶子、柳宗悦、岡本太郎らの作品・資料が一堂に展示される。

選ばれているのは、デザイナー、建築家、画家、歌人、思想家、芸術家と分野が分かれる。美術の枠に収まらない構成で、「暮らし」というテーマと対応する形だ。

作家が総合監修を務める点も特徴になる。通常、展覧会の企画は美術館の学芸員や外部のキュレーターが担うことが多い。作家自身が監修する形では、自分の作品と他の作家の作品を並べる判断をすることになる。

会期の設定も見ておきたい。東京が3月4日から22日、大阪が3月25日から4月12日で、いずれも19日間だ。

東京の終了から大阪の開始までは2日間になる。19日間の展示を2日で移す形で、搬出と搬入の期間がこれに収まる構成だ。

美術品の輸送には梱包と運搬の工程がある。作品の点数が多ければ、その分の時間も必要になる。2日という間隔は短い部類に入るため、両会場で同じ構成を再現する作業が組まれる形になる。

同じ会期の長さで東京と大阪を回る構成は、どちらの会場でも同じ内容を見られる形だ。一方で、会期が重ならないため、両方に出す作品は1点ずつで足りる。

この展覧会は長期の企画の一部にあたる。同社は2028年に美術部の創設120年を迎えるにあたり、2027年3月から2年間、「美、その先へ。拡がりと融合」をテーマとした記念展覧会を展開するとしている。今回はその始まりになる。

2年間の企画であれば、複数の展覧会を順に開く形になる。1回で完結させるのではなく、テーマを分けて続ける構成だ。

主催は「モリムラさんは百貨店で考えた。美術には暮らしがよく似あう。」展実行委員会、協力は株式会社オークとなる。

森村泰昌氏は1951年大阪市生まれで、2026年に旭日小綬章を受章している。

なお、展示内容は都合により変更される場合があるとされている。

出典:株式会社髙島屋 プレスリリース