株式会社大丸松坂屋百貨店は、2016年に始めた衣料品回収活動「エコフ キャンペーン」を、2026年も全国10店舗で開催する。今回で21回目となり、これまでに累計900万点を超えるアイテムを回収してきた。開催は2026年9月30日から順次で、期間は店舗により異なる。
直近の実績も公表されている。2026年春のキャンペーンでは70,534名が参加し、542,871点を回収した。参加者数、回収点数ともに前年を上回ったという。1回のキャンペーンで7万人が来店し、1人あたり平均で約7.7点を持ち込んだ計算になる。
参加の仕組みは単純だ。家庭で不用になった衣料品、靴、バッグを、期間中に1人1店舗あたり9点まで店頭へ持ち込む。預かった品物は同社がリユースとリサイクルを行う。参加者には、引き取り1点につき、税込5,500円の買い上げごとに1枚利用できる500円分のアプリクーポンが進呈される。クーポンの受け取りには大丸・松坂屋アプリへの入会が必要となる。
この設計は、売場の観点から見ると練られている。まず、持ち込み点数の上限を9点としたことで、クーポンも最大9枚となり、5,500円ごとに1枚使えるという条件から逆算すると、49,500円分の買い物までが対象になる。回収に参加した人が、そのまま館内で買い物をする流れが作られている。
さらに、クーポンの受け取り条件にアプリ入会を置いている点も見逃せない。回収というきっかけを通じて、顧客をアプリの会員基盤に取り込む構造だ。1回のキャンペーンで7万人が参加するとなれば、会員獲得の施策としても規模が大きい。環境への取り組みと販促、顧客基盤の構築を1つの企画にまとめている形といえる。
9点という上限設定にも意味がある。多すぎれば持ち込む側の負担が増え、選別や保管の手間も膨らむ。一方で少なすぎれば、わざわざ来店する動機にならない。家庭の不用品を紙袋1つにまとめて持ち込める程度の量として、現実的な水準に置かれている。
回収した品物の行方も明示されている。着用可能なものはリユースされ、着用が難しいものは反毛繊維などにリサイクルされる。協業先である株式会社JEPLANや関係各社の協力のもと、リユース・リサイクルに関する独自のトレーサビリティを担保する仕組みを構築しており、リユースされた衣料品や雑貨はタイやカンボジアのリユース店で販売されているという。
回収品の一部は、アップサイクルにも回される。同社のファッションサブスクリプションサービス「AnotherADdress」が取り組む衣類循環アップサイクルプロジェクト「roop」がその受け皿だ。回収した衣料品をデザイナーの手で新たなファッションアイテムに生まれ変わらせ、レンタルとして提供している。
開催場所が催事場やイベントホールという点も、規模を物語っている。常設の回収ボックスではなく、期間を区切って専用の会場を設けるという形だ。まとまった量を短期間に集める設計で、選別や搬出の効率も上がる。一方で、会場を確保できる期間に限られるため、参加したい人に日程が伝わっているかが集客を左右する。
衣料品の回収は、アパレルや百貨店で広く行われている取り組みだが、回収した後の説明まで踏み込んでいる例は多くない。トレーサビリティの仕組みや、リユース品の販売先まで示すことは、参加する側の納得感につながる。回収した服がどこへ行ったか分からないという不安は、この種の取り組みで最も生じやすい部分でもある。
開催店舗と期間は、大丸札幌店が9月30日から10月5日、大丸京都店と松坂屋静岡店が10月7日から、大丸心斎橋店が10月8日から、松坂屋名古屋店が10月14日から、松坂屋上野店が10月15日から、大丸梅田店と大丸神戸店が10月21日から、大丸下関店が10月23日から、大丸東京店が10月30日から11月3日まで。大丸梅田店は完全予約制となる。開催時間などの詳細はキャンペーンサイトで確認できる。