阪神梅田本店は、鹿児島県の奄美群島をテーマにした催事「あまみ群島ワンダートリップ3」を、2026年9月23日から28日まで1階の食祭テラスで開催する。3回目の実施となる。
物産展の組み立てという観点で見ると、この催事は物販だけで完結させていない点が特徴になる。飲食、物販、工芸、そして音楽とラジオの生放送を同じ会場に並べる構成だ。
中心に据えられているのが、黒糖焼酎を飲み比べできるBARである。黒糖焼酎は奄美群島でのみ生産が認められている焼酎で、サトウキビから作られた黒糖を主原料とする。会場では30種類以上を飲み比べできる。酒のセレクトを担当するのは、5つの島の全25蔵の黒糖焼酎を揃える現地の酒販店の店主だ。
産地の事業者を売場に立たせるという形は、地域催事の説得力を支える。実際に奄美で暮らし、酒屋として扱っているからこそ伝えられる楽しみ方を届けるという位置づけになっている。さらに関西で黒糖焼酎の普及活動を行う案内人が毎日午後1時から8時まで登場し、初日にはゲストバーテンダーによる限定ドリンクも用意される。
その場で飲むだけで終わらせない設計も用意されている。持ち帰り用の販売も展開しており、720mLで税込2,840円のものから、900mLで1,248円のものまで価格帯に幅がある。BARで試して気に入ったものを買って帰るという動線だ。飲食と物販を組み合わせることで、1人あたりの単価を引き上げられる。
食のラインアップも幅広い。奄美のソウルフードである鶏飯の丼が1,201円、もずくや青さのりの天ぷらが各291円、南国素材を使ったジェラートがシングル605円、島バナナのパンナコッタが551円などが並ぶ。数百円で試せるものから1,000円台の食事まで揃えることで、来場者の目的に応じて選べる構成になっている。
工芸品の扱いも、この催事の幅を広げている。約1300年の歴史を持つとされる泥染めの染色、3代続く大島紬の織元、夜光貝を使ったジュエリーなどが登場する。食品だけの物産展と比べ、単価の高い商材を置けることで売上の厚みが出る。バッグが33,000円、ペンダントネックレスが17,985円といった価格帯だ。
イベント面では、現地のコミュニティFMによる生放送や、島の言葉で歌う島唄ライブが連日開かれる。ライブは1回約25分で、1日2回の実施となる。短い公演を繰り返す形は、来場のタイミングを問わず楽しめるという利点がある。
地域を丸ごと持ち込むという企画は、単に産品を並べるより手間がかかる。一方で、その土地の空気を体験させるという価値は、商品の説明だけでは生まれない。3回目の開催という継続性も、地域との関係を積み重ねてきた結果といえる。