国際NGOプラン・インターナショナルは、株式会社イトーヨーカ堂が店頭の募金箱で展開する募金活動の寄付先として選定されたと2026年9月7日に発表した。2026年9月7日から11月30日までの約3カ月間、イトーヨーカドーおよびヨークで集められた募金の全額が、同団体がカンボジアで実施する「地域主導型の小学校給食」プロジェクトに充てられる。終了日は店舗により異なる。
注目したいのは、この募金活動の運用の仕方だ。イトーヨーカドーは2016年3月より、国内全店舗のレジ横に募金箱を設置し、年間を通じて来店客と従業員に募金を呼びかける活動を行っている。セルフレジなど一部設置できないレジは除く。そのうえで、3カ月単位で様々な社会的課題の解決につながるテーマを決めて実施しているという。
募金箱を常設しながらテーマを定期的に切り替えるという設計には、実務上の利点がある。設置そのものは一度整えれば継続でき、追加の作業は発生しない。一方でテーマを更新することで、募金の使い道が具体的に示され、来店客にとっては何のための募金かが分かる。同じ場所に置き続けても内容が変われば、視線が向く機会も生まれる。
レジ横という設置場所も、この施策の要になっている。会計時に生じる小銭を、その場で投じられる位置だからだ。今回はレジの募金箱POPと店内告知ポスターの2種類が用意されており、レジでの視認と、買い物中の認知の両方を押さえる構成になっている。
寄付先の選定という点も、この取り組みの一部だ。3カ月ごとにテーマを決めるということは、その都度どの課題を取り上げるかを判断していることになる。今回は海外の学校給食が対象だが、国内の災害支援や地域の課題が選ばれる回もありうる。来店客の関心と、企業として取り組みたい領域の両方を見ながら決める形になる。
支援先のプロジェクトについても説明がある。同団体はカンボジアの子どもたちの学習効率を上げ、初等教育の修了率を向上させるため、2013年から世界食糧計画と連携して学校に給食を導入する取り組みを行ってきた。学校給食は栄養状態の改善や空腹による集中力低下の軽減につながるほか、保護者が子どもを継続して通学させる後押しにもなり、就学率や修了率の改善に貢献しているという。
イトーヨーカドーの継続的な支援により、これまでに合計221校で給食が定着した。支援対象期間を終えた学校においても、学校菜園の活用や地元生産者との連携を強化し、給食を継続できるよう学校と現地政府への指導とトレーニングを実施している。また、教師やコミュニティリーダーへの研修を通じてジェンダー平等を促進しているとした。
レジ横に募金箱を置くという判断には、店舗側の事情も関わる。会計のスペースは限られており、そこに何を置くかは常に取り合いになる。それでも10年近く継続しているのは、来店客からの反応や、企業としての姿勢を示す場として機能しているためだろう。セルフレジには設置できないという制約も明記されており、レジの構成が変わればこの仕組みの届く範囲も変わっていく。
221校という数字が示されている点は、募金する側にとって意味がある。集めた金額そのものより、それが何につながったかが分かるほうが納得感は得やすい。店頭で伝えられる情報は限られるが、こうした実績を添えられれば、次回以降の参加にも影響する。
小売の現場から見ると、店頭募金は費用をほとんどかけずに始められる社会貢献活動だ。箱とPOPを用意し、集まった金額を寄付するという構造で、商品の仕入れも在庫も伴わない。一方で、集計や送金の実務、テーマ選定の判断は必要になる。10年近く継続している事例として、運用の形を参考にできる部分は多い。
プラン・インターナショナルは、誰もが平等で公正な世界を実現するために、子どもや若者、様々なステークホルダーとともに世界80カ国以上で活動している団体だ。子どもや女の子が直面する不平等を生む原因を明らかにし、その解決に向けて取り組んでいる。