株式会社大丸松坂屋百貨店は、衣料品などの回収キャンペーン「ECOFF」を松坂屋名古屋店で2026年10月14日から18日まで実施している。時間は10時から19時までで、最終日は18時までだ。

会場は本館7階の大催事場内に設けた特設会場となる。これまでは南館1階のオルガン広場で実施していたが、今回初めて本館での開催となる。

この変更は、来場の性質に関わってくる。1階の広場であれば、買い物や通り抜けの途中で目に入る位置にある。一方、7階の催事場まで上がるのは、持ち込むと決めた客の動きになる。回収品を持参する企画は、そもそも自宅で荷物をまとめてから来る前提のため、ついでの来場は多くない。催事場内に置けば、催事を見に来た客との接点も生まれ、持ち込んだ客が催事を見る流れも作れる。

回収の対象は衣料品、靴、バッグで、1人1店舗につき9点まで持ち込める。回収の対象外となる品もある。

特典は買い上げ額に応じたクーポンだ。税込5,500円の買い上げごとに、500円分のアプリクーポンを1枚進呈する。受け取りには大丸・松坂屋アプリへの入会が必要で、クーポンを使えない売場もある。

還元の設計を見ると、5,500円に対して500円で約9%にあたる。回収した点数ではなく買い上げ額を基準にしている点が、持ち込み点数で還元額を決める形とは異なる。回収そのものへの対価ではなく、来店した客の購買につなげる組み立てになる。アプリへの入会を条件に置いている点も、クーポンの配布と会員の獲得を同じ動きで進める形だ。

この企画で押さえておきたいのが、過去の実績として示されている数字だ。2016年の開始から累計900万点以上を回収している。直近では2026年春に全国10店舗で実施し、70,534名が参加して542,871点を回収した。

542,871点を70,534名で割ると、1人あたり約7.7点になる。持ち込みの上限が9点であることを踏まえると、参加者は上限に近い点数を持ってきている計算だ。回収の上限を設ける場合、実際にどのくらい持ち込まれるかは運営の準備に関わる。1人あたり8点近くが前提になれば、受け取りの体制も保管の場所もそれに合わせる必要がある。

10店舗で70,534名という参加者数も、1店舗あたり約7,000名にあたる。会期中の来店者としては相当な規模で、回収を目的とした来店が館の客数に寄与する形になる。

回収した品物の行き先も説明されている。着用できるものはリユースし、難しいものは反毛繊維などにリサイクルする。一部はアップサイクルで新しいアイテムになる。リユース品は、協業先の株式会社JEPLANなどを通じて、タイとカンボジアのリユース店で販売している。

回収後の流れを具体的に示す形は、持ち込む側の判断にも関わる。自分が出した衣類がどうなるかが分からなければ、処分との違いが伝わらない。販売先の国名まで挙げている点は、リユースとして実際に使われることを示す材料になる。

関連する取り組みとして「roop」も紹介されている。大丸松坂屋百貨店のファッションサブスク「AnotherADdress」が行う衣類のアップサイクル事業で、今年で3年目にあたる。若手デザイナーや服飾専門の学生が回収品から新しいアイテムを制作し、AnotherADdressでレンタル提供する。

回収した衣類を自社のサブスクの商材に変える形は、回収と販売を同じ事業のなかで循環させる構成になる。外部に引き渡して終わらせるのではなく、一部を自社で使う流れを持っている点が、回収の位置づけを変えている。

出典:株式会社大丸松坂屋百貨店 プレスリリース