中国のEコマース大手・京東集団(JD.com)傘下の物流会社である京東物流(JINGDONG Logistics)は、2026年8月19日付の自社ブログで、深セン市内で自動運転の無人配送車を夜間にも稼働させ、区をまたいだ物資輸送を担わせる取り組みを本格運用していると紹介した。深セン市平山区のある拠点では、午後10時になると生鮮食品や米、小麦粉、食用油といった生活必需品を積んだ無人配送車が静かに出発し、龍崗区へと向かう。同社は、これは研究段階の実証実験や将来構想の一端ではなく、すでに都市の夜間物流オペレーションの一部として日常的に組み込まれている「現在進行形」の取り組みだと強調している。

深セン市は今年4月、専用に設計された無人配送車を対象に、午後10時から午前6時までの時間帯に区をまたぐ夜間ルートでの走行を認めた。最初に開放された2ルートの総延長は50キロメートル超で、平山区と龍崗区の複数拠点を結んでいる。京東物流はこのサービスの運行を認可された最初期の企業の一つで、現在までに深セン市内で約100台の無人配送車を投入し、22カ所の配送拠点をつなぐ121本もの夜間ルートで日々運用しているという。

使用されている無人配送車「LangzuTech(浪潮テック)ミニバン」は、複数のセンサーを組み合わせたマルチセンサー認知システムにより、夜間など光量の少ない環境でも道路状況や障害物を正確に識別できる。満載時でも最大170キロメートルの走行が可能で、さまざまな輸送シーンに対応しながら24時間体制で稼働できるという。

今回の取り組みの特徴は、車両の使い方そのものにある。日中は同じ車両がラストワンマイル配送を担い、夜間には物流拠点間で物資を輸送し、地域のフルフィルメント拠点への補充を行う。この「昼は配送、夜は補充」という運用モデルにより、道路が空いている時間帯を活用しつつ、1台あたりの稼働時間を長く保てるという。

龍崗区にある京東物流の地域フルフィルメント拠点「彭達(Pengda)」を管理する張毅氏によれば、このモデルの導入により、車両1台あたりの平均稼働時間は従来の約12時間から24時間へと倍増し、1日あたりの輸送回数も3回から5回に増加したという。これにより、車両1台あたりの運用コストは約20%削減され、稼働率(使用能力)は66%改善したとしている。夜間運行はまた、深セン市内で日中に発生する渋滞や通行規制の影響を避けられるという利点もあり、輸送効率の向上に加え、従業員がより人の判断が必要となる接客やきめ細かな対応業務に集中できる環境づくりにもつながっているという。

京東物流は中国の物流企業の中でも早期から無人配送の実証に取り組んできた企業の一つとされる。現在使用されているLangzuTechミニバンはすでに第6世代(Plusモデル)へと進化しており、今年中に数千台規模の追加納入が予定されているという。

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