株式会社10Xは、小売ECプラットフォーム「Stailer(ステイラー)ネットスーパー」に「不定貫販売機能」の提供を開始した。精肉、鮮魚、惣菜など内容量が一定でない「不定貫商品」を対象に、100gあたりの単価と実際の重さに応じて価格を決める仕組みだ。関連する価格決定の仕組みについて特許も取得している。

機能の流れは4段階になる。客が商品を選ぶ段階では目安価格と内容量の範囲が表示される。カートと注文確認の画面では想定される最大価格が表示され、決済枠が確保される。店舗のスタッフが商品のバーコードをスキャンして実際の価格を登録し、決済金額が確定する。確定した価格はプッシュ通知またはメールで客に通知され、注文明細からも確認できる形だ。

背景として示されているのは価格決定の方法の違いだ。実店舗では100gあたりの単価と実際の重量で価格が決まる形が一般的だが、ネットスーパーでは目安量に基づく価格設定が一般的で、実際の商品との差が生じていた。目安量より多い場合は小売事業者が差額を負担するケースがあり、少ない場合は詰め替えや価格修正といった手動の対応が発生していたとされる。

特許は特許第7798416号で、発明の名称は「情報処理システム、情報処理方法およびプログラム」、特許権者は株式会社10X、登録日は2026年1月5日だ。

この機能で押さえておきたいのが、導入の効果として示された数字の意味だ。従来、目安量を超えた差額を負担していた一部の小売事業者では、精肉カテゴリの流通総額が約5.2%改善したとされる。算出方法は不定貫商品の実販売金額と、従来の目安価格で販売したと仮定した場合の差額になる。この5.2%は新しく商品が売れた分ではなく、すでに出荷していた商品の代金を回収できるようになった分にあたる。原価は商品を渡した時点で発生している形で、回収できていなかった代金が入る構成だ。売上が5.2%増えれば、その分は利益に近い形で残る部分がある。精肉の流通総額が1,000万円の規模であれば約52万円の計算だ。

5.2%という数字を逆算すると現場の状況も見える。目安量を基準にした価格で売っていた期間に、実際に渡していた商品の重量が目安を平均で5%前後超えていたという関係だ。100gあたり300円の精肉で目安100gを300円として売る場合、実際には105.2g相当を渡して300円を受け取っていた形になる。不定貫商品はパックごとに重量が異なる商材で、目安に合わせて選ぶと必ず過不足が生じる部分がある。少ない方を渡せば客からの指摘が生じるため、多めを選ぶ運用になりやすい構成だ。この積み上がりが5.2%という数字に表れる形になる。

決済の仕組みも設計として特徴がある。注文の時点では想定される最大価格で決済枠を確保し、実際の重量が確定してから金額を決める構成だ。クレジットカードの与信枠を先に押さえ、後から実額で確定する形にあたる。客から見ると注文時の表示額が実際の請求額より高い形になり、確定後に下がる場合が多い構成になる。注文時に目安価格で決済する形であれば、後から追加の請求が生じて客への説明が必要になる部分がある。最大価格を先に示す形はこの問題を避ける構成だ。

従来の手作業の内容も実務として見ておきたい。目安量より少ない商品を渡す場合は詰め替えや価格修正が必要になる形で、ピッキングを担当するスタッフが対応する構成だ。ネットスーパーの出荷作業は店舗の売場から商品を集める形が多く、注文の件数が増えれば作業の時間も増える部分がある。目安量に合うパックを探す工程や、合わない場合に価格を直す工程が加わる形では、1件あたりの作業時間が延びる構成になる。バーコードをスキャンして実価格を登録する形であれば、パックを選び直す工程が不要になる部分がある。

実店舗とネットスーパーで価格の決め方が違っていた構造も論点になる。同じ小売事業者が同じ商品を売る場合でも、店舗では実重量で課金し、ネットスーパーでは目安価格で課金する形が生じていた。客から見れば同じ店の同じ商品だが、価格の決まり方が異なる構成だ。オンラインとオフラインで運用を揃える形は、在庫や価格の管理を一元化する方向と対応する部分がある。

対象となるカテゴリーも商材の性質で揃っている。精肉、鮮魚、惣菜はいずれも重量で価格が変わる商材で、パックごとに内容量が異なる形だ。食品スーパーの売場ではこの3つが生鮮と惣菜の中心を占める部分があり、客単価への影響も大きい構成になる。加工食品のように1個あたりの価格が固定される商材とは管理の方法が分かれる形だ。

特許の登録から発表までの期間も確認できる。登録日が2026年1月5日、発表が2026年10月30日で、298日、約9.8か月が経過している計算だ。特許を取得してから機能の提供開始を発表する形で、この間に開発と検証が進んだ構成と読める。導入効果として示された5.2%という数字も、実際に稼働した事業者のデータにあたる形だ。

同社は「Stailer AI発注」として、売上、天候、販促情報などをもとにAIが発注内容を提案する機能も提供している。設立は2017年6月26日で2026年10月時点で約9年4か月になり、本社は東京都中央区東日本橋、代表取締役社長は矢本真丈氏だ。

出典:株式会社10X プレスリリース