株式会社湖池屋は、1962年の「ポテトチップス のり塩」発売以来60年以上展開してきた「湖池屋ポテトチップス」ブランドから、新たな定番フレーバー「ポテトチップス ハニー&バター」を2026年9月7日より全国・全チャネルで発売した。内容量は55g、価格はオープン価格となる。

同ブランドは2023年に発売60周年を機にリニューアルを行い、国産じゃがいもと味へのこだわりを原点として見つめ直したうえで、味わいとパッケージを刷新してきた。今回はさらなるブランドの成長と新たな顧客との接点拡大を目指し、約8年ぶりの新定番フレーバーとして開発されたものだ。

味の設計として押さえておきたいのが、定番ラインアップでは初となる甘じょっぱいフレーバーだという点である。若年層をはじめとする新たな顧客に親しんでもらえる味わいを目指し、バターとはちみつの組み合わせに着目した。袋を開けた瞬間に広がるバターの豊かな香りと、口にしたときのコク深い味わいが特長で、後からじんわりと広がるはちみつの甘みを重ね、香ばしい風味で味わいを引き締めている。甘さと塩味だけでなく、香りやコクまでバランスを整えることで、濃厚さがありながらもあとを引く仕上がりにしたという。

はちみつとバターという組み合わせ自体は、パンや菓子の分野では広く使われてきた。それをポテトチップスに持ち込むことで、スナックを普段あまり食べない層にも接点を作ろうという狙いが読み取れる。

売場の観点で見ると、定番フレーバーの追加は期間限定品とは意味合いが異なる。期間限定品は棚を一時的に借りる形だが、定番は継続して棚を確保する前提になる。約8年ぶりという間隔は、そのハードルの高さを示す数字といえる。既存の定番と入れ替えるのか、棚を広げるのかという判断が、導入する側には求められる。

甘じょっぱいという切り口も、購入する層を広げる狙いが見える。従来のポテトチップスは塩味系が主軸で、購入層も固定されやすかった。菓子売場において、甘味系と塩味系は別の棚に置かれることが多いが、この商品はその境界にある。陳列の仕方によって、届く相手が変わる可能性がある商品だ。

新しい層に届くかどうかは、実際に手に取る場面を作れるかにかかる。定番の棚に並べるだけでは、これまで湖池屋の商品を選んでこなかった人の目に留まりにくい。試食や少量の企画什器など、味を知ってもらう機会と組み合わせられるかが導入後の分かれ目になりそうだ。

同社は同じ9月7日から、既存商品についても新じゃがの時期に合わせた期間限定パッケージを展開している。対象は「のり塩」「じゃがいもと塩」「金のコンソメ」「ガーリック」「のり醤油」の5品。展開期間は9月7日から10月3日までを予定しているが、店頭によって前後する。

この2つを組み合わせた仕掛けは、売場づくりの材料になる。新商品1品だけでは棚の一部が変わるにとどまるが、既存5品のパッケージが同時に切り替われば、ブランドの棚全体が新しく見える。新じゃがという季節の切り口も添えられているため、秋の売場として一括りに打ち出しやすい。約1カ月という期間設定も、企画としての区切りをつけやすい長さだ。

新商品のパッケージは、ブランドのデザインフォーマットをベースにしつつ、クローバーやキャラクター、花畑をモチーフに取り入れた。ブランドとしての統一感を保ちながら、味わいをイメージした親しみのあるデザインに仕上げたとしている。

なお新商品の内容量は55gで、価格はオープン価格とされている。菓子売場では内容量と価格の関係が比較されやすいため、同じ棚に並ぶ他社商品との兼ね合いで店頭価格が決まることになる。定番として扱うか、期間限定の扱いにするかで、値付けの考え方も変わってきそうだ。

同ブランドは1962年8月に「のり塩」の販売を開始し、1967年にはポテトチップスの量産化を実現した歴史を持つ。長く続く定番ブランドが、味の幅を広げることで新しい層に届こうとする動きといえる。