簡易食品容器の国内最大手メーカーである株式会社エフピコは、南大阪を中心にスーパーマーケットを展開する株式会社サンプラザと協働し、関西エリア35店舗を対象とした水平リサイクルの取り組みを進めると2026年9月1日に発表した。店頭で回収した使用済み食品トレーやペットボトルを新たな容器に再生し、それを再び同じ店の売場で使うという循環を「ストアtoストア」と呼び、両社で推進する。対象店舗数は2026年8月末時点のもの。

仕組みはこうだ。地域の消費者が持ち込んだ使用済み食品トレーとペットボトルを、店頭に設置した回収ボックスで集める。回収した資源はすべてエフピコで活用され、エコ製品に生まれ変わる。そのエコ製品をサンプラザの売場で使用することで、循環型の水平リサイクルが成立する。水平リサイクルとは、リサイクルの前後で用途を変えずに資源を循環させる方法を指す。ここでいうエコ製品とは、回収された資源を原料とする「エコトレー」「エコAPET」「エコOPET」の3種類だ。

実績も数字で示されている。サンプラザは2026年2月期において、使用済み食品トレーを53トン、使用済みペットボトルを109トン回収した。再生されたエコ製品を売場で使用することにより、245トンのCO2排出を抑制したという。今回の協働を機にエコ製品の使用をさらに広げ、2027年2月期には年間270トンの抑制を目指すとしている。

この取り組みの特徴は、回収と使用の両方を同じ企業が担っている点にある。トレーの店頭回収そのものは、多くのスーパーマーケットで以前から行われてきた。ただ、回収した資源がその後どうなったのかは見えにくく、来店客にとっても実感を持ちにくい部分があった。回収したものが自店で使う容器に戻ってくるという流れが明示されれば、参加する側にとって分かりやすい構図になる。

回収の対象がトレーとペットボトルの2種類である点も実務的だ。どちらも家庭から日常的に出る資材で、買い物のついでに持ち込みやすい。特別な分別知識を必要とせず、参加のハードルが低い。

両社が掲げているのは、店がその地域のエコリーダーとなることだ。あわせて、地域の消費者にリサイクルへの参加を促すため、店頭でのリサイクル啓発ポスターによる情報発信も行う。より多くの人に参加してもらうことで、使用済み食品トレーとペットボトルの回収量を増やす狙いだ。

回収量が増えれば再生できる量も増え、売場で使えるエコ製品も増える。逆に回収が細れば循環は回らない。啓発活動が取り組みの一部として明記されているのは、この構造があるためだろう。売場でどう伝えるかが、そのまま数字に効いてくる仕組みになっている。

小売の現場から見ると、この種の取り組みには実務上の負担も伴う。回収ボックスの設置場所の確保、回収物の一時保管、汚れたトレーが持ち込まれた際の対応など、店舗側の手間は少なくない。それでも継続する事業者が増えているのは、環境対応が取引先や自治体との関係で求められる場面が増えていることに加え、来店の動機づけとして機能する側面もあるからだ。トレーを持ち込むために店に来る人は、そのまま買い物をしていく可能性が高い。

数字の面でも、規模感がつかみやすい事例といえる。35店舗で年間245トンのCO2抑制という実績は、1店舗あたりに直せば7トン程度だ。単独では大きな数字ではないが、店舗数を掛け合わせれば意味のある規模になる。自社の店舗数に当てはめて試算しやすい形で公表されている点は、検討する側にとって扱いやすい。

サンプラザは1961年11月設立で、南大阪を中心に35店舗を展開する地域密着型のスーパーマーケットだ。うち1店舗は奈良県にある。食の安全をモットーに掲げ、産地直送の食材を提供している。エフピコは1962年7月設立で、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで使われる簡易食品容器を製造販売する国内最大手メーカー。同社方式のリサイクルによる資源循環とCO2排出量の削減、環境負荷の低い容器の開発による省資源化などを通じて、持続可能な社会の実現を目指すとしている。