株式会社UPDATERが運営する再生可能エネルギー100%の電力小売サービス「みんな電力」は、東京都三鷹市のカフェ「Banda Coffee&Goods」に対し、再生可能エネルギー100%の電力供給を2026年8月6日から開始した。同店は2026年7月11日の開業時から再エネ100%の電力の選択を目指し、みんな電力と協議を重ねてきたという。

供給される電力は、再生可能エネルギー由来の電気に、再生可能エネルギー指定の非化石証書の環境価値を組み合わせることで再エネ100%とするもので、CO2排出量もゼロになる。契約形態は通常供給の電力小売契約だ。

今回の発表で目を引くのは、再エネの導入が大企業や大規模施設に限らず、地域に根差した個人経営の店舗でも実践できる取り組みだという点を前面に出していることだ。UPDATERはこの点について、具体的な試算も示している。

国内には約5万9,000の喫茶店事業所があるとされる。総務省と経済産業省の令和3年経済センサスによる数字で、58,669店だ。仮に一般的な小規模カフェの年間電力使用量を1万から1万5,000kWhとして単純に試算すると、全国の喫茶店事業所における電力使用量は年間で約6億から9億kWhに相当する。こうした店舗に再生可能エネルギー由来の電力の選択が広がった場合、年間で約25万から38万トンのCO2排出削減につながる可能性があるという。

この試算は、飲食店のエネルギー原単位を参考に推計されたものだ。農林水産省の一般飲食店における省エネルギー実施要領と、東京都環境局および日本フードサービス協会の外食産業の省エネルギー対策を参考に電力使用量を推計し、CO2排出量は資源エネルギー庁が公表する令和6年度の全国平均CO2排出係数を用いて算出している。

1店舗あたりで見れば、小規模店舗の電力使用量やCO2削減量は大規模施設と比べて決して大きくない。UPDATERもその点は認めたうえで、カフェをはじめとする地域の店舗は全国各地に存在し、日々地域の人々に利用されていると指摘する。一つひとつの家庭や店舗による身近な選択の積み重ねが、社会全体のエネルギー転換を生み出すという考え方だ。

店舗側の動機についても触れられている。オーナーの磯崎泰一氏はコメントのなかで、サーフィンや登山、バックカントリーをライフワークとして自然の中で多くの時間を過ごしてきたことが店づくりの原点にあると述べ、だからこそ日々の営業で使う電力も自然や環境に配慮した選択をしたいと考えたとしている。再生可能エネルギーを選ぶことは小さな一歩かもしれないが、一つひとつの選択の積み重ねが未来につながると信じているとも語った。

店舗運営の視点で見ると、電力会社の切り替えは店舗側の工事や設備投資を伴わない施策だ。契約先を変えるだけで、環境への配慮を打ち出せる。個人店や小規模チェーンにとって、取り組みやすい選択肢のひとつといえる。ただし料金水準は契約内容によって変わるため、電気代そのものが下がるとは限らない点は押さえておく必要がある。

もう1つ注目したいのは、この店が開業の時点から再エネの選択を目指していた点だ。既存店が途中で切り替える場合と違い、開業準備の段階で電力契約を検討事項に入れておけば、余計な手戻りが生じない。新規出店や改装のタイミングは、こうした見直しを組み込みやすい機会でもある。

供給元となる「みんな電力」は、国内で3者のみが認定されているCDP認定再エネプロバイダーとして、国際基準に準拠した再エネ電力を供給している。全国1,100か所以上の再エネ発電所から電気を調達し、Webサイトで発電所ごとのストーリーを見える化しているのが特徴だ。調達先は44都道府県にわたり、太陽光やソーラーシェアリング、風力、地熱、バイオマス、水力と電源種別も幅広い。独自の電源調達ポリシーを設け、大規模な森林伐採などの環境破壊につながる開発行為を行っていないことや、地域住民との合意形成を条件としている。

法人向けにはRE100基準に準拠したプランも用意されており、電力トラッキングサービスによって自社が利用している電力の由来を30分単位で把握できる。2018年の提供開始以来、600か所以上の再エネ発電所と4,000か所以上の需要施設で利用されているという。

なおBanda Coffee&Goodsは東京都三鷹市下連雀にあり、営業時間は8時から17時、定休日は月曜日となっている。