株式会社大丸松坂屋百貨店は、自社のSNSメディア「WAZA Studio」で、クリスタルガラスメーカーのカガミクリスタル株式会社(KAGAMI)のプロモーション動画を制作した。InstagramやTikTokなどで発信される予定だ。

WAZA Studioは2025年5月に開設したメディアで、日本の伝統工芸や職人の技を次世代に伝えるとともに、企業やブランドの価値や歴史をショート動画で発信する。

今回の動画では、ガラスの成形、江戸切子のカット、完成品までの工程を取り上げた。受け継がれてきた技法と、現代の暮らしに合うものづくりを紹介する内容になる。KAGAMIは1934年創業で、日本板硝子株式会社のグループ会社だ。

百貨店が自社でメディアを持ち、取引先の作り手を取り上げる構成が、この取り組みの軸にあたる。商品そのものを紹介するのではなく、作る過程と技術を見せる形だ。工芸品は価格の根拠が工程にあるため、作り手の作業を示すことが商品の説明につながる。

WAZA Studioの実績も示されている。開設後1か月で総フォロワーが約5万人に達し、現在は約45万人、総再生数は2億回以上とされている。開設から約1年半で45万人という水準で、1か月時点の5万人から9倍に伸びた計算になる。

小売がSNSメディアを自社で運営する形は、広告を出す場合とは性格が異なる。自社のアカウントで発信するため、掲載の枠を買う必要がなく、取り上げる対象も自社で決められる。一方で、継続して制作し続ける体制が必要になる。ショート動画という形式を選んでいる点は、制作の負担と視聴される長さの両方を踏まえたものと読める。

取引先を取り上げることが、売場の説明力にもつながってくる。百貨店は自社で商品を作らず、仕入れた商品を売る業態だ。扱う商品の背景を自社のメディアで発信できれば、売場での接客に使える材料が増える。取引先にとっても、自社で動画を作る負担なしに発信の場が得られる形になる。

工芸品という題材の選択も、百貨店の品揃えと噛み合っている。江戸切子のような商品は、見た目だけでは手作業の量が伝わりにくい。工程を映像で見せることで、価格と技術の関係が示せる。店頭で実演を行う催事と似た役割を、SNS上で果たす構成といえる。

総再生数2億回以上という数字は、来店客数とは別の指標にあたる。発信が直接の売上につながるかは別の話だが、認知の広がりという点では館の集客より大きな規模になる。

出典:株式会社 大丸松坂屋百貨店 プレスリリース