メゾンカカオ株式会社は、チョコレートブランド「MAISON CACAO」の北海道初となる常設店を2026年10月21日、大丸札幌店地下1階に開く。同ブランドは鎌倉発で、現在は全国7店舗を展開している。
この出店で押さえておきたいのが、商品開発に先立つ素材の選定だ。同社は北海道への出店に向けて40軒以上の生産者を訪ね、そのなかから2つの素材を選んだとしている。
1つが十勝の「ときいろベリーファーム」で栽培されるフランボワーズ「カールベック」、もう1つが富良野の「大島農園」で栽培される青肉メロン「キングメルティ」だ。この2素材を、コロンビアで栽培から関わったカカオとブレンドして新作ショコラを開発した。
40軒以上を回って2軒に絞る形は、採用率で見れば5%を下回る。新しい地域に出る際に現地の素材を使う手法そのものは珍しくないが、訪問した軒数を示したうえで選定の過程を説明している点は、商品の説明に使える要素になる。出店の理由付けとしても働く構成だ。
扱う商品は3種が挙げられている。ブランドの代表作である「アロマ生チョコレート」は水分量25%以上という構成だ。北海道で初めて届ける新作が「ショコラ・シエロ」で、北海道限定商品として「生ガトーショコラ」を用意する。
水分量25%以上という数値は、売り方にも関わってくる。水分が多い生チョコレートは日持ちが短く、常温での陳列が難しい。百貨店の地下に出す形であれば冷蔵の設備が前提になり、売り場の構成もそれに合わせる必要がある。一方で、製造から店頭までの距離が短いほど扱いやすい商材でもある。
同社の成り立ちについても説明がある。創業者の石原紳伍氏が2014年にコロンビアを訪れ、果実としてのカカオに関心を持ったことが出発点だという。2015年に鎌倉で創業し、これまでに60種類以上のオリジナルクーベルチュールを開発してきたとしている。
掲げているのが「旅するメゾン」という考え方で、産地を訪ねて素材の個性を生かす製法を指す。今回の北海道での素材選定も、この方針に沿った動きにあたる。
カカオについて栽培から関わっているという点も、素材の調達の形として見ておきたい。産地から仕入れるだけでなく栽培の段階に入れば、品種や収穫の時期を自社の商品に合わせて決められる余地が生まれる。60種類以上のクーベルチュールを作ってきたという実績も、原料を細かく分けて扱う前提があってこそ成り立つ。
石原氏はコメントのなかで、「本当においしいカカオを届け、チョコレートを通して人と人がつながる文化をつくりたい。」と述べている。
出店地の素材で限定商品を作る組み立ては、その土地でしか買えない商品を用意することになる。北海道限定の「生ガトーショコラ」に加え、十勝と富良野の素材を使った新作を置く形は、地元の客に向けた品揃えと、観光で訪れた層への土産需要の両方に向く。
なお、価格や営業時間についての記載はない。