株式会社エフピコと両備ホールディングス株式会社 両備ストアカンパニーは、「エコストア協働宣言」を発表した。両備ストアの全14店舗で、店頭を起点とする水平リサイクルを強化し、環境負荷のさらなる低減を目指す。
水平リサイクルは、リサイクルの前後で用途を変えない資源循環を指す。使用済みのトレーを再びトレーに戻す形だ。
この取り組みで押さえておきたいのが、循環の経路を1社に閉じている点だ。トレーのリサイクル先をエフピコに一本化し、店舗間で循環させる形を2025年6月に開始した。あわせて、売り場の汎用トレーを回収資源から作られた「エコトレー」に2025年5月から切り替えている。
エフピコはトレーのメーカーにあたる。同社の製品を店が仕入れ、客が使用後に店頭の回収ボックスに戻し、それをエフピコが回収して再生トレーを作り、店がまたそれを仕入れる形になる。供給元と回収先が同じ会社であれば、出した資源がどこで何になるかが追える構造だ。
リサイクル先を一本化する判断も、この構造と関わってくる。複数の業者に出す形では、回収した資源の行き先が分散する。1社に集めれば、トレーに戻る流れを確保できる。一方で、回収量や品質の条件はその1社との間で決まることになる。
回収の実績も示されている。両備ストアは店頭の回収ボックスで使用済み食品トレーを回収しており、2026年3月期の回収量は13.7tだった。
14店舗で13.7tという数字は、1店舗あたり年間約1トンにあたる。トレーは1枚が軽い資材のため、1トンという重量に達するには相当な枚数が必要になる。回収ボックスの設置と、集まった分の保管や搬出の作業が店舗側に生じることも、この数字から読める部分だ。
CO2排出量の削減についても数字が出ている。回収資源から作られたエフピコのエコ製品を売り場で使うことで、2026年3月期に66tの削減に貢献したとしている。そのうえで、2027年3月期にはエコ製品の使用拡大により年間80tの削減を目指す。
66tから80tへの引き上げは14tの増加で、約21%の増加にあたる。回収量を増やす形ではなく、エコ製品の使用を広げることで達成する構成だ。回収は客の協力に左右される一方、どの製品を仕入れるかは店側が決められる。削減の数字を動かす手段として、仕入れ側の選択を使う形になる。
使用するエコ製品は「エコトレー」「エコAPET」「エコOPET」の3種類だ。トレー以外に透明の容器も含まれるため、惣菜やサラダ、果物の包装にも対応する範囲になる。
売り場で使う資材を切り替える形は、客から見えにくい部分の変更にあたる。商品の中身や価格は変わらないため、切り替えたこと自体は伝わりにくい。一方で、使用する資材の数量は店舗の販売規模に比例するため、全店で切り替えれば数字としての効果は積み上がる。
店頭での回収を起点に置く点も、スーパーという業態の性質と噛み合っている。トレーは食品を買った客の自宅で使用後に残る資材だ。次の買い物の際に持ち込める形であれば、回収のための移動が追加で発生しない。回収ボックスを置く場所と、客が立ち寄る場所が同じという構造になる。
14店舗という規模で水平リサイクルを組む構成は、他の食品スーパーにとっても参照しやすい事例になる。全国規模のチェーンでなくても、資材の供給元と回収先を揃えれば循環の形は作れる。年間13.7tという回収量と66tのCO2削減という数字は、規模に応じた目安として読める部分だ。
エフピコは東京都新宿区、両備ホールディングス 両備ストアカンパニーは岡山県岡山市に拠点を置く。