エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社は、青山商事株式会社、Earth hacks株式会社、大阪府との共同事業として「サステナブルファッション・プラットフォーム協議会による地域衣類廃棄ゼロエリア事業」を開始した。
連携先はサステナブルファッション・プラットフォーム協議会、吹田市、豊中市、茨木市、摂津市、藤井寺市、JaZCaFだ。環境省「デコ活」推進事業に採択された取り組みで、過去2年間の環境省モデル実証事業の成果を踏まえている。
この事業で押さえておきたいのが、回収拠点の設置場所だ。市役所、公共施設、商業施設、公園などに10か所以上を設ける。
衣類の回収は、これまで店舗を拠点とする形が多かった。自社の店に回収ボックスを置き、持ち込んだ客に値引きのチケットやポイントを渡す構成であれば、回収と販促が結びつく。一方、市役所や公園に拠点を置けば、買い物をしない人も持ち込めることになる。
拠点を店舗の外に広げる形は、回収量を増やす側に寄った設計になる。公共施設に持ち込んだ人に対して、店側が販促の機会を持つわけではない。目的が廃棄量の削減であれば、どこで回収するかより、どれだけ集まるかが問われる構成だ。
目標として、事業期間中に7,500人の行動変容創出と約300トンのCO2削減を掲げている。7,500人で300トンを割ると、1人あたり約40kgの計算になる。
人数と削減量を両方示す形は、個人の行動と全体の効果を結びつける構成にあたる。衣類を1着処分するかリサイクルに回すかという判断は、1人の単位では効果が見えにくい。1人あたり40kgという数字が示されれば、積み上がった結果としての規模が分かる。
地域を限定している点も特徴になる。対象は大阪北摂地域の吹田市、豊中市、茨木市、摂津市に加えて藤井寺市だ。「地域衣類廃棄ゼロエリア」という名称にも、エリアを単位とする考え方が表れている。
全国規模で展開する形と比べて、地域を絞れば拠点の密度を上げられる。回収ボックスが1か所しかなければ持ち込みに移動が必要になるが、10か所以上が同じ地域内にあれば、生活の動線上に入る可能性が高まる。
企業の組み合わせも読める部分だ。エイチ・ツー・オー リテイリングは百貨店を中核とする小売、青山商事は衣料品を扱うチェーンにあたる。いずれも衣類を売る側の企業が、回収の事業で組む構成になる。
売る企業が回収に関わる形は、商品の流れの両端を押さえることになる。新しい衣類を販売する一方で、着なくなった衣類を引き取る役割も持つ形だ。ここにEarth hacksが加わり、環境負荷の算定や可視化の面を担う構成と読める。
住民に伝える手段として、体験型のコンテンツも用意している。布の切れ端を使う「リボンチャーム」作りのワークショップと、衣類の循環を漫画で解説した冊子の配布だ。
布の切れ端を使うワークショップは、廃棄される素材が別の形になる過程をその場で体験させる構成になる。説明を聞くだけの形と比べて、手を動かした結果が残る。漫画の冊子も、文字だけの説明より読まれやすい形を選んだ手段にあたる。7,500人の行動変容という目標に対しては、まず知ってもらう段階が必要になる。
イベントへの出展も予定している。2026年10月18日に千里中央公園 LABO前広場、10月25日に万国博記念公園 お祭り広場・下の広場、11月8日に摂津市立コミュニティプラザ、11月20日と21日に豊中市立カクタスC&C豊島体育館、11月23日に藤井寺市役所前ふれあい広場だ。
日程は日曜日と祝日、金曜・土曜に設定されている。会場は公園2か所と公共施設3か所で、いずれも自治体が関わる場所にあたる。地域のイベントに出展する形であれば、既に人が集まる場に回収の機会を持ち込めることになる。
なお、藤井寺市での実施は、デコ活推進事業と連携した独自の取り組みとされている。