カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)、Vポイントマーケティング株式会社、株式会社大阪ブルテオンの3社による「スポーツ観戦を起点とした地域循環モデル実証プロジェクト」が、スポーツ庁が推進する「スポーツオープンイノベーションプラットフォーム推進事業(SOIP)」に採択された。パイロット地域は大阪府枚方市で、実証期間は2026年9月から2027年2月までの予定だ。
このプロジェクトで押さえておきたいのが、来場者の行動を段階に分けて追う構成だ。
3社は「観戦→回遊→購買→再訪」という4つの段階を地域循環として設定している。試合を見た客が周辺を回り、買い物をし、再び訪れる流れだ。
スポーツの試合は、特定の日に特定の場所へ人が集まる形になる。周辺の店舗から見れば、試合の日は来客が増える条件にあたる。
一方で、試合の日以外は通常の客数に戻る。年間の試合数は限られるため、観戦による来客は断続的な形になる。
4つの段階に分ける形は、どの段階で止まっているかを見ることになる。観戦から回遊に進まなければ、客は会場と駅を往復するだけで終わる。回遊しても購買に至らなければ、店舗の売上には反映されない。購買があっても再訪がなければ、試合の日限りの客にとどまる構成だ。
段階ごとに課題が分かれる形であれば、対策も変わる。会場から店舗への動線の案内、店舗側の受け入れ、再訪の動機づけという順になる。
測り方も示されている。大阪ブルテオンの試合来場者を対象に、Vポイント施策やデータ基盤を使って周遊・購買行動を分析する形だ。
来場者が周辺の店舗で買い物をしたかどうかは、通常は分からない部分になる。会場では入場者数が分かり、店舗では売上が分かるが、両者がつながる情報はない。試合の日に売上が伸びた場合でも、観戦客によるものか判断できない形だ。
ポイントのデータを使う形では、この間がつながる可能性がある。来場の記録と購買の記録が同じ会員IDで結びつけば、観戦した客がどこで買い物をしたかという情報になる構成だ。
プロジェクトの3つの柱も、この流れに対応する。1つ目は関与度把握で、来場者の属性や行動傾向を分析する。2つ目はブルテオンマップで、ファンが地域の魅力やスポットをまとめたマップを制作する。3つ目は経済効果可視化で、周遊・購買データなどを使い地域経済への波及効果を検証する。
マップの作り方も見ておきたい。ファンが制作する形になる。
地域のマップを作る場合、自治体や商業施設が作る形が一般的にあたる。掲載する店舗は募集や選定で決まり、内容も作る側の判断になる。
ファンが作る形では、選ぶ基準が変わる。試合の前後に使う店舗、同じチームのファンが集まる場所といった実際の使い方が反映される構成だ。
店舗の側から見ると、載るかどうかは客の行動に左右される形になる。チームのファンが日常的に使う店舗であれば、掲載される可能性が高い。一方で、掲載を申し込む形ではないため、店舗側から働きかける余地は限られる構成だ。
マップが公開されれば、他のファンが参照することになる。試合の日に初めて枚方市を訪れる客であれば、どこに行くか判断する材料がない。ファンが作ったマップがあれば、同じ趣向の客向けの案内になる形だ。
役割分担も明示されている。CCCが企画と有料会員制ファンコミュニティ「BLUTEON’S HOUSE」の運営、Vポイントマーケティングが分析設計とVポイント施策の実施・効果検証、大阪ブルテオンが全体統括と試合・ファンとの接点づくり、地域連携を担う。
ポイントの事業者が分析を担う形は、データの性質と関わる。Vポイントは複数の加盟店で使われる仕組みで、同じ会員の購買が業種をまたいで記録される。試合の前に飲食店で食事をし、帰りに小売店で買い物をしたという流れも、同じIDで追える構成だ。
有料会員制のファンコミュニティを運営する形も、再訪の段階に関わる。試合の日だけの接点であれば、次の試合まで間が空く。コミュニティがあれば、その間も接点が続く形になる。
実証期間は2026年9月から2027年2月までの6か月で、シーズンの期間に重なる。1試合ごとの単発ではなく、複数の試合を通じた行動を見る形だ。
再訪を測るには、少なくとも2回以上の来場や来店が必要になる。6か月という期間であれば、同じ客の複数回の行動が記録される構成だ。
小売や外食の側から見ると、スポーツチームの来場者が数値で把握される形になる。試合の日の売上が増える実感はあっても、その規模や客の属性は分からない部分が多い。経済効果の可視化が行われれば、どの程度の規模かという情報が出る構成だ。
CCCの所在地は神奈川県横浜市で代表取締役社長兼CEOは髙橋誉則氏、Vポイントマーケティングは神奈川県横浜市で代表取締役社長執行役員は廣田精吾氏、大阪ブルテオンは大阪府大阪市で代表取締役社長執行役員CEOは笹木秀一氏だ。