株式会社ファミリーマートは、自社農場「ファミベジファーム」で収穫した野菜の店舗販売を2026年10月28日に開始した。販売店舗はファミリーマート北柏三丁目店で、所在地は千葉県柏市になる。
「ファミベジファーム」は2026年7月に開設された農場で、場所は千葉県柏市だ。障がいのある社員が働く農場にあたる。同社の障がい者雇用率は2026年6月時点で3.55%で、法定雇用率を上回る水準とされている。
販売される野菜は落花生、さつまいもなどで、季節に合わせて品揃えを変える形になる。栽培は株式会社ベジモの協力のもとで自然栽培に取り組んでおり、農薬、化学肥料、種子消毒、動物性肥料を使用しない。
この取り組みで押さえておきたいのが、農場と販売店舗がいずれも千葉県柏市にある点だ。産地と売場が同じ市内にある構成で、収穫から店頭に並ぶまでの輸送の距離が最小になる。通常の青果の流通では産地から集荷場、卸売市場、物流センターを経て店舗に届く経路があり、距離と時間がかかる部分だ。同一市内であればこの工程を圧縮できる構成で、収穫した当日に並べることも可能になる。コンビニは1店の売場面積が限られ青果の取扱量も少ない業態だが、近距離の生産地から少量を運ぶ形であれば成立する部分がある。
開設から販売までの期間も短い。2026年7月の開設から10月28日の販売開始までは約4か月、119日の計算だ。落花生とさつまいもはいずれも秋に収穫期を迎える作物で、7月に開設した農場で最初の収穫期に合わせた形になる。開設から1年を待たずに収穫物が売場に並ぶ構成で、作物の選択が開設の時期と対応している。落花生は千葉県が主要な産地として知られる作物で、地域で栽培実績のある品目を選ぶ形であれば、栽培の知見や周辺の環境を使える部分がある。新たに農場を立ち上げる場合、何を作るかという選択が最初の収穫までの期間を左右する構成だ。
販売に至るまでの段階も示されている。同社はこれに先立ち、田町本社と名古屋で「障がいの理解と社員交流会」を開催し、そこでファミベジファームの野菜を社内で初めて販売している。社内での販売を経て店舗での販売に進む順序で、まず社員が買う場を設けてから一般の客に売る構成だ。新しい商材を扱う場合、販売の方法や価格の設定、包装の形を確かめる工程が必要になる部分があり、社内での販売はその場としても機能する形になる。
障がい者雇用率の3.55%という数字も換算すると規模が見える。3.55%は約28.2人に1人の割合で、社員1,000人あたり35.5人の計算になる。同社は全国に約16,500店の店舗網を持つ規模で、この比率を維持するには相応の人数の就労の場が必要になる構成だ。雇用率は人数の比率で示される指標だが、実際には働く場と業務の内容を用意する工程が伴う部分がある。採用の数を増やすだけでは成立せず、どの業務を担ってもらうかという設計が必要になる形で、農場はその選択肢の1つを社内に作る構成になる。
農場という就労の場の性質も見ておきたい。コンビニの店舗業務はレジ対応、商品の陳列、発注、清掃など複数の作業が同時に進む形で、接客も含まれる。農場の作業は栽培、収穫、出荷の準備といった工程で、季節によって内容が変わるが1つの作業に集中できる部分がある。小売業が障がい者雇用の場を広げる場合、店舗以外の業務を持つかどうかが選択肢の幅に関わる構成だ。農場を自社で持つ形であれば、店舗業務とは異なる作業の場が社内に生じる。
自然栽培という条件も運営に関わる。農薬、化学肥料、種子消毒、動物性肥料の4つを使わない形で、一般的な栽培よりも管理の難易度が上がる部分がある。病害虫の発生や収量の変動に対して使える手段が限られる構成で、収穫量が年によって振れる可能性がある。少量を自社の店舗で売る形であれば、収量の変動を売場の品揃えで吸収できる部分がある。季節に合わせて品揃えを変えるとしているのは、この条件と対応する形と読める。
販売を1店舗から始める点も設計が見える。全店で扱う形であれば安定した供給量が必要になるが、1店舗であれば農場の収穫量に合わせられる構成だ。北柏三丁目店は農場と同じ柏市内にある店舗で、地域の客が地域で採れた野菜を買う形になる。農場の規模が広がれば販売店舗を増やす余地も生じる構成で、供給量と販売先を対応させながら進める形になる。
同社の設立は1981年9月で、2026年9月に創立45周年を迎えている。本社は東京都港区芝浦、代表取締役社長は小谷建夫氏だ。ベジモの代表取締役は小林寛利氏になる。