東芝テック株式会社は、「商品券連動サブシステム」を2026年10月30日に発売した。同社の量販店向け店舗システム「PrimeStore」と、株式会社暁電機製作所が開発した商品券読取装置「AES-GTR」を連動させる仕組みで、POSシステムで商品券の使用、回収、集計を自動化できる。
最も大きな変化はセルフレジでの扱いだ。従来は従業員が目視で商品券の利用可否や金額を確認していたため、セルフレジで商品券の利用を制限する店舗もあった。今回の仕組みでは、従業員を呼び出さずにセルフレジで商品券を利用できるようになる。
装置の動作も自動化される。商品券読取装置に商品券を入れると、券面情報の自動入力と回収が行われる。利用済みの商品券は装置内の収納庫に保管され、種別、枚数、金額が自動で集計されてレポートが出力される形だ。
同社が挙げる特長は「店舗業務を省力化」と「バックオフィス業務を効率化」の2点になる。利用にはPrimeStore、商品券連動サブシステム、AES-GTRの併用が必要だ。
この仕組みで押さえておきたいのが、セルフレジの運用が決済手段で止まる構造だ。セルフレジは客が自分で会計する形で、従業員の作業を減らすために導入される設備にあたる。ところが商品券の確認に従業員が必要であれば、商品券を使う客はセルフレジを使えない構成になる。実際にセルフレジで商品券を制限する店舗があったとされており、その場合は商品券を持つ客が有人レジに回る形だ。セルフレジを導入しても、対応していない決済手段がある分だけ有人レジの負荷が残る構成になる。導入した台数に対して実際に使われる比率が下がる形で、投資の効果が目減りする部分がある。
従来の運用が目視だった点も作業の性質を示している。商品券は発行元によって券種が分かれ、額面や利用の条件も異なる商材だ。レジで提示された券がその店で使えるものか、額面がいくらかを従業員が確認する形になる。券種の知識が必要な作業で、新しく入った従業員では判断に時間がかかる部分がある。混雑時には確認が後ろの客を待たせる形にもなる。装置が券面情報を読み取る形であれば、この判断が機械の側に移る構成だ。
バックオフィスの作業も自動化の対象に入る。回収した商品券は発行元に請求する必要があり、種別ごとに分けて枚数と金額を集計する工程が生じる形だ。この作業は営業時間中には行いにくく、閉店後や翌日に回る構成になる。手作業で数える形では枚数の数え間違いが生じる部分があり、金額が合わなければ確認のやり直しが必要になる。装置が種別、枚数、金額を自動で集計してレポートを出力する形であれば、この工程が省ける構成だ。券を収納庫に保管する形も、回収した券を箱に入れて管理する作業の代わりになる部分がある。
自動化される工程を数えると7つになる。券面情報の入力、商品券の回収、収納庫への保管、種別の集計、枚数の集計、金額の集計、レポートの出力だ。このうち前半の3つはレジでの作業、後半の4つはバックオフィスの作業にあたる。特長が2点に分かれているのは、作業の発生する場所が店舗の売場とバックオフィスの両方にまたがる構成と対応する形になる。
偽造の検知については限界が明記されている。同社は商品券読取装置に登録された商品券情報との一致を判定する仕組みだとした上で、「偽造された商品券等をすべて検知できるわけではありません」としている。登録されている券種との照合という方式で、登録外の券や精巧な偽造には対応しきれない形だ。目視の確認であれば従業員の判断に依存する構成で、こちらも完全ではない部分がある。機械に移すことで判定の基準が明示される形になるが、検知できない場合があることは変わらない構成だ。導入を検討する側は、この条件を踏まえて運用を決める形になる。
導入の条件も確認しておきたい。利用にはPrimeStore、商品券連動サブシステム、AES-GTRの3つの併用が必要になる。PrimeStoreは量販店向けの店舗システムで、これを使っている店舗がサブシステムと読取装置を追加する構成だ。別のPOSシステムを使う店舗はこの組み合わせでは対応できない形になる。既存の設備の上に機能を足す形であれば導入の負担は抑えられるが、前提となるシステムが決まっている構成だ。
2社の協業という形も商材の性質と関わる。東芝テックがPOSシステム、暁電機製作所が商品券読取装置を担う構成で、ソフトウェアと専用のハードウェアを組み合わせる形になる。商品券を読み取って収納する装置は紙幣や硬貨を扱う機器に近い構造を持つ部分があり、POSの開発とは別の技術にあたる。それぞれの領域を担う形で1つの仕組みを作る構成だ。
同社の設立は1950年2月で2026年10月時点で76年8か月になる。本社は東京都品川区大崎、代表者は大西泰樹氏、資本金は399億円で、東証プライム市場に上場している。