キャッシュレス決済、モバイルオーダー、予約管理、需要予測、生成AI――。

人手不足やコスト上昇が続く外食業界では、店舗運営の効率化や生産性向上に向けて、DX・AI活用への期待がこれまで以上に高まっている。

一方で、実際の店舗や企業では、DX・AIはどこまで導入されているのだろうか。

プロガイドが実施した「外食DX・AI実態調査2026」では、外食業界に関わる350人を対象にWEBアンケートを実施。DX推進状況、導入施策、AI・生成AIの活用業務、導入課題、今後の投資領域などについて調査した。

調査結果から浮かび上がったのは、外食DXが着実に進みつつある一方、まだ多くの企業が「導入の入口」に立っているという実態だ。

以下にて、実調査資料もダウンロード可能です。
https://storeguide.proguide.co.jp/documents/4687/

外食業界で「DXを推進中」は20.9%

まず注目したいのが、外食企業におけるDXの推進状況だ。

調査では、「全社的に推進している」が10.0%、「一部店舗・部門で推進」が10.9%となり、合わせて20.9%がDXを推進中と回答した。

一方、「検討中」は7.7%、「必要性は感じるが未着手」は9.1%。そして「まだ予定なし」は62.3%に上った。

つまり、DXという言葉自体は外食業界にも広く浸透しているものの、実際に全社あるいは一部店舗・部門で取り組んでいる企業は約2割にとどまっている。

外食DXは一部の先進企業だけのテーマではなくなりつつある一方、業界全体で見ると、まだ大きな伸びしろが残されている状況といえそうだ。

キャッシュレス、勤怠、POS。「店舗基盤DX」が先行

現在導入しているDX・AI施策では、「キャッシュレス決済」が26.3%で最多となった。

続いて「勤怠管理」20.9%、「POSシステム」16.9%、「モバイルオーダー」13.1%、「QRコード注文」11.7%、「予約管理システム」10.6%、「セルフレジ」9.7%となっている。

店舗運営の基盤となる領域からデジタル化が進んでいることが分かる。

一方、生成AIの導入率は9.1%だった。

まだ1割弱ではあるものの、今後の拡大が注目される領域だ。

生成AI活用は「シフト作成」「社内文書」「会議資料」へ

AI・生成AIの活用業務では、「シフト作成」が9.7%で最多。

「社内文書作成」9.1%、「会議資料作成」8.9%、「売上分析」8.6%、「販促・SNS投稿」7.2%、「接客マニュアル作成」7.0%、「メニュー開発」6.7%、「発注支援」6.1%と続いた。

特徴的なのは、AI活用が一つの業務に集中するのではなく、店舗運営から本部業務、マーケティングまで複数の領域に広がり始めていることだ。

最大の壁は「何から始めればよいかわからない」

DX・AI導入における課題のトップは、「何から始めればよいかわからない」の32.9%だった。

「導入コスト」25.1%、「費用対効果が見えない」21.7%、「人材不足」18.6%、「運用できる人がいない」16.3%、「現場が使いこなせない」15.0%と続く。

ここから見えてくるのは、外食DXの課題が単なる「ツール不足」ではないということだ。

「自社のどの業務から導入するのか」
「誰が運用するのか」
「どの程度の成果を目指すのか」

こうした導入設計そのものが、大きなハードルとなっている。

今後2年間、投資意欲が最も高いのは「人材教育」

今後2年間で投資を強化したい領域について聞いたところ、トップとなったのは「人材教育」13.1%だった。

続いて「店舗DX」10.9%、「マーケティング」10.9%、「モバイルオーダー」10.0%、「在庫・発注DX」8.6%、「データ分析」8.0%、「AI・生成AI」7.1%となった。

DX・AIへの投資だけではなく、それを現場で活用できる人材を育成することも重要なテーマになっていることがうかがえる。

DX・AIに期待するのは「売上拡大」より「省人化・効率化」

DX・AIによって期待する効果では、「コスト削減」が30.0%でトップとなった。

続いて「人手不足解消」29.4%、「業務効率化」28.3%、「売上向上」22.6%、「データ活用」16.3%となっている。

外食企業がDX・AIに求めているのは、新しいテクノロジーを導入すること自体ではない。

人手不足やコスト上昇、店舗業務の負担といった、実際の経営課題を解決するための手段としてDX・AIが期待されていることが分かる。

3年後、AIに最も変えてほしい業務とは

調査では自由回答をもとに、「3年後、AIに最も変えてほしい業務」についても整理している。

大きく分けると、「分析・判断」「在庫・発注」「店舗接客」「人員配置」「管理・報告」「注文・会計」の6領域が挙がった。

売上データ分析や需要予測、発注・在庫管理の自動化、予約電話への対応、シフト作成、店舗管理レポートの作成、注文・会計業務の効率化など、日常的に発生する業務への期待が目立つ。

AIによってすべてを置き換えるというよりも、日常業務の負担を減らし、人がより重要な仕事に集中できる環境をつくることへの期待が大きいと考えられる。

外食DX・AIは「導入」から「定着」へ

今回の調査から見えてきた外食DX・AIの「次の一手」は、大きく3つに整理できる。

1つ目は「小さく始める」こと。

1店舗、1業務、1KPIなど、対象を絞って導入し、成果を可視化してから展開していく。

2つ目は「現場定着を設計する」こと。

ツールを導入するだけではなく、教育、マニュアル、権限、運用責任者まで含めて設計する必要がある。

3つ目は「AIを経営課題に接続する」こと。

人手不足、売上、シフト、分析、文書作成など、自社が抱える経営課題とAI活用を結びつけることが重要になる。

外食業界にとって、DX・AIはもはや一部の先進企業だけのテーマではない。

一方、今回の350人調査を見る限り、本格的な普及はこれからだ。

2026年以降は「どんな最新技術を導入するか」だけではなく、「どの経営課題から、どの業務を、どう変えるのか」が、外食DXを進めるうえで重要なポイントになっていくだろう。

※本記事は、株式会社プロガイド「外食DX・AI実態調査2026」(WEBアンケート、有効回答350件)の調査結果をもとにStore Guide編集部が構成しています。外食業界「DX・AI」実態調査2026