2026年10月1日から、加熱式たばこのたばこ税は新しい課税方式に100%移行します。2026年4月1日から9月30日までは、改正前の方式と改正後の方式を50%ずつ組み合わせる経過措置が取られていました。
影響を受けるのは、加熱式たばこを扱うコンビニ、たばこ販売店、スーパーやドラッグストアのたばこカウンターです。10月1日には、財務大臣の認可を受けた加熱式たばこの小売定価の改定が予定されています。
この記事では、課税方式の見直しの中身、値上げの時期と店舗への影響、在庫・発注とPOS価格改定の注意点、手持品課税の有無を整理します。2027年4月から始まる紙巻たばこを含むたばこ税の段階的な引上げについても、概要を紹介します。
加熱式たばこの課税方式はどう変わったか
加熱式たばこは、紙巻たばこの本数に換算してたばこ税を計算します。今回の見直しは、紙巻たばことの間の税負担の差を解消するためのものです(財務省「たばこ税等に関する資料」)。
換算方法の新旧比較
| 項目 | 改正前(2026年3月31日まで) | 改正後 |
|---|---|---|
| 換算の基準 | 重量と価格の両方で換算(重量0.4gを紙巻たばこ0.5本とする部分と、価格による部分の組合せ) | 重量のみで換算 |
| スティック型(紙などで巻いたもの) | 上記の方式 | 重量0.35gを紙巻たばこ1本に換算 |
| スティック型以外 | 上記の方式 | 重量0.2gを紙巻たばこ1本に換算 |
| 最低課税 | ― | スティック型は1本0.35g未満なら1本を紙巻1本に、それ以外は1箱4g未満なら1箱を紙巻20本に換算 |
改正後の方式では、製品を軽くすることで税負担が下がることを防ぐため、最低課税の仕組みが設けられています。
2段階の移行スケジュール
| 期間 | 改正前の方式の割合 | 改正後の方式の割合 |
|---|---|---|
| 2026年3月31日まで | 100% | 0% |
| 2026年4月1日~9月30日(第一段階) | 50% | 50% |
| 2026年10月1日から(第二段階) | 0% | 100% |
経過措置は、急激な税負担の変化が消費者などに与える影響を和らげるために設けられたものです。10月1日の第二段階で、見直しは完了します。
値上げの時期と店舗への影響
たばこの小売定価は、メーカーが申請し、財務大臣の認可を受けて決まります。財務省は認可の内容を「製造たばこの小売定価の認可」のページで公表しています。
2026年8月以降に公表された小売定価の変更認可資料には、実施日を2026年10月1日とする加熱式たばこ用製品の価格改定が含まれています。資料上の改定幅は、1箱当たり20円から40円程度の例が見られます。
ただし、改定幅は銘柄ごとに異なり、据え置きの銘柄がある可能性もあります。取扱銘柄の新価格は、財務省の認可資料とメーカー・卸の案内で1銘柄ずつ確認してください。
店舗で起きやすいこと
- 9月下旬に、カートン単位のまとめ買いが増えます。
- 人気銘柄の欠品が起きやすくなり、問い合わせ対応が増えます。
- 10月1日以降は、しばらく購入数量が落ち込む傾向があります。
過去の増税時も、施行前の駆け込み需要と施行後の反動減が見られました。10月以降の売上予算は、反動減を織り込んで組むと実態に近くなります。
お客様への説明のポイント
値上げの理由を聞かれた場合は、「加熱式たばこの税の計算方法が見直され、10月1日から新しい方式に完全に移行したため」と簡潔に伝えます。銘柄ごとの新旧価格を一覧にしておくと、レジでの説明時間を短くできます。
たばこの価格はメーカーが申請し、国が認可したもので、店舗が独自に決めたものではありません。この点を伝えると、理解を得やすくなります。
値上げをきっかけに、銘柄を切り替えるお客様や購入を控えるお客様も出てきます。10月以降は銘柄別の販売数を週単位で確認し、棚の配分と発注量を調整しましょう。
在庫・発注とPOS価格改定の実務
たばこは小売定価が決まっている商品です。10月1日以降は、手元の在庫も含めて認可された新しい小売定価で販売します。
在庫と発注
9月末の発注は、駆け込み需要と反動減の両方を考えて決めます。欠品を恐れて発注を増やしすぎると、10月以降に在庫が滞留する原因になります。
卸の締め日や最終納品日は、例年より早まる場合があります。取引先からの案内を確認し、9月最終週の納品予定を把握しておきましょう。
POS・値札の切替え
- POSの売価マスタを10月1日0時に切り替わるよう事前登録します。
- たばこ棚(ガントリー)の価格表示と、タッチパネル式の年齢確認画面の価格表示を合わせて更新します。
- 深夜営業の店舗は、0時をまたぐ会計の扱い(9月30日中の会計は旧価格)を従業員に周知します。
- カートン価格の表示やチラシ、店内POPの価格も差し替えます。
深夜の切替えは、少人数で作業することになりがちです。作業手順書を用意し、切替え後に数銘柄をテスト登録して価格を確認すると、誤売価を防げます。
スーパー・ドラッグストアのたばこカウンター
サービスカウンターでたばこを扱う店舗では、たばこの担当者が固定されていないことがあります。10月1日の朝に出勤する従業員が、新価格に切替え済みであることを確認できるよう、引継ぎメモを残しておきます。
有人レジのスキャン価格とカウンターの掲示価格が一致しているかも確認しましょう。価格改定の直後は、掲示の差し替え漏れによる誤案内が起きやすくなります。
経理・本部で確認すること
たばこは仕入原価と売価が同時に変わる商品です。10月分の粗利を9月と単純比較せず、改定日を境に分けて分析すると、実態をつかみやすくなります。
複数店舗を運営している場合は、本部で銘柄別の新価格を一括登録し、各店舗では表示の差し替えだけを行う分担にすると、店舗ごとの誤登録を防げます。10月1日の売上データで、新価格が正しく反映されているかを確認しておきましょう。
手持品課税は行われるか
今回の加熱式たばこの課税方式の見直しに伴う手持品課税は、実施されません。複数の自治体が、たばこ税の案内ページでその旨を明記しています。
そのため、2026年4月1日と10月1日の段階では、販売店が在庫について税額の差額を申告・納付する必要はありません。ただし、10月1日以降は新しい小売定価で販売することになります。
これに対し、2027年4月から始まるたばこ税率の引上げでは、令和7年度税制改正の大綱で「手持品課税を実施する」とされています。この点は次の章で説明します。
2027年4月から始まるたばこ税の引上げ
防衛力強化に係る財源確保のための税制措置として、国のたばこ税の税率が3段階で引き上げられます。1本当たり0.5円ずつ、合計1.5円の引上げです。
| 実施日 | 国のたばこ税(1,000本当たり) | 1本当たりの引上げ額 |
|---|---|---|
| 現行 | 6,802円 | ― |
| 2027年4月1日 | 7,302円 | 0.5円 |
| 2028年4月1日 | 7,802円 | 0.5円 |
| 2029年4月1日 | 8,302円 | 0.5円 |
紙巻たばこ1箱20本の場合、国のたばこ税は1段階当たり10円増えます。消費税を含めると約11円の負担増に相当しますが、実際の小売定価の改定幅はメーカーの申請と認可によって決まります。
加熱式たばこも紙巻たばこの本数に換算して課税されるため、この引上げの影響を受けます。各年の具体的な準備は、「【2027年4月〜】たばこ税の段階的増税スケジュール」の記事で詳しく解説しています。
コンビニ・たばこ販売店のチェックリスト
- □ 取扱いの加熱式たばこ銘柄ごとに、10月1日以降の小売定価を確認したか
- □ 財務省の小売定価の認可資料と、メーカー・卸の案内を照合したか
- □ 9月最終週の発注量を、駆け込み需要と10月以降の反動減を踏まえて決めたか
- □ 卸の最終納品日と10月以降の初回納品日を確認したか
- □ POS売価マスタの10月1日0時切替えを登録したか
- □ ガントリーの価格表示、カートン価格、POPを差し替える担当を決めたか
- □ 0時をまたぐ会計の扱いを深夜勤務の従業員に周知したか
- □ 値上げに関するお客様の問い合わせへの説明文を用意したか
- □ 10月以降の銘柄別販売数を週単位で確認する担当を決めたか
- □ 2027年4月の税率引上げに向け、手持品課税の要件確認を経理の予定に入れたか
値上げの時期は、レジでの不満の声が増えることがあります。従業員を守る対応手順は「カスハラ対策義務化」の記事も参考にしてください。
よくある質問
Q. 10月1日前に仕入れた在庫は旧価格で売ってもよいですか?
A. たばこは認可された小売定価で販売する商品です。10月1日以降は、在庫品も新しい小売定価で販売するのが原則です。
Q. 今回、手持品課税の申告は必要ですか?
A. 加熱式たばこの課税方式の見直しに伴う手持品課税は実施されません。申告は不要です。
Q. 紙巻たばこも10月1日に値上げされますか?
A. 今回の課税見直しの対象は加熱式たばこです。ただし、メーカーが紙巻たばこの価格改定を申請している場合もあるため、銘柄ごとに認可資料で確認してください。
Q. 加熱式たばこ用の機器(デバイス)も値上げの対象ですか?
A. たばこ税の課税対象は、たばこ葉を使ったスティックなどの製品です。機器本体の価格はメーカーの販売方針によるため、各社の案内で確認してください。
Q. 2027年4月の増税では何が必要になりますか?
A. 税制改正の大綱では手持品課税を実施するとされています。数量要件などの詳細は、今後の国税庁の案内で確認が必要です。
まとめ
加熱式たばこは、2026年10月1日から重量のみで換算する新しい課税方式に100%移行します。同じ日に多くの銘柄で小売定価の改定が予定されており、手持品課税は行われません。
店舗では、銘柄ごとの新価格の確認、9月末の発注調整、POSとガントリー表示の切替えを確実に行いましょう。2027年4月からは、1本0.5円ずつのたばこ税引上げが3年続きます。
出典
加熱式たばこに係る課税方式の見直しについて(令和8年4月1日〜)(国税庁)