株式会社丸善ジュンク堂書店は、コミック専門ブランド「COMICTION[コミクション]」のショップを2026年11月下旬にジュンク堂書店 池袋本店で開店する。ブランド名は「COMICS」と「COLLECTION」を掛け合わせた造語だ。

読んで気に入ったコミックの魅力をグッズ化し、紙のコミックとグッズを一緒に販売する形になる。

この取り組みで押さえておきたいのが、売場の面積が有限であることへの対応だ。

同社は背景として、書店の売場には限りがあり、完結したコミックは新刊の展開に伴って目にする機会が減り、新しい読者に届きにくくなることがあると説明している。

コミックは巻数が増える商材にあたる。1作品で数十巻になる場合もあり、全巻を棚に並べれば相応の幅を占める。一方で新刊は毎週入るため、棚の配分は常に動くことになる。

完結した作品は、この配分で優先度が下がりやすい。続きが出る作品であれば新刊の発売に合わせて既刊も動くが、完結した作品には新しい巻が出ない。売場での露出が減れば、作品を知らない客が目にする機会も減る形だ。

売場の面積は増えないが、商品は増え続ける。この条件は小売全般に通じる部分だが、コミックでは1作品が占める幅が大きいため影響も出やすい構成になる。

同社はこの状況に対して、作品を改めて紹介し、グッズをきっかけに知ってもらい、再び読んでもらう循環を作ることを目指すとしている。

グッズと作品の順序も見ておきたい。通常、作品のグッズは読者に向けた商品にあたる。作品を読んで気に入った客が、関連する商品を買う流れだ。作品を知らない客にとっては、グッズの意味が分からないことになる。

この構成では、その順序が逆になる。グッズを目にした客が作品を知り、そこから紙のコミックを読む形を想定している。

グッズは作品そのものより目に入りやすい部分がある。背表紙が並ぶ棚と、立体の商品が置かれた売場では、通りがかりの客が受け取る情報が異なる。作品の内容を知らなくても、デザインや形で手に取る形になる。

紙のコミックとグッズを一緒に販売する形も、この流れと対応している。グッズに関心を持った客が、その場で作品を買える構成だ。グッズだけを売る店舗であれば、作品を読む段階は別の場所になる。

選ぶ主体も特徴になる。同社は、長年コミックを扱ってきた書店員の視点で作品の魅力を見直し、グッズや企画として提案する方針を示している。

作品のグッズは、通常は版元が企画する形になる。売れている作品や新しい作品を中心に商品化が進み、書店はそれを仕入れて売ることになる。

書店が作品を選んでグッズ化する形では、選定の基準が変わる。売場で客の反応を見てきた立場から、紹介したい作品を選ぶ構成だ。版元の販売計画とは別の軸で作品が選ばれる形になる。

小売が商品の企画に関わる形は、他の業態でも見られる構成にあたる。売場での動きを把握している側が商品を作る形であれば、棚に合う仕様にできる。一方で、企画と製造の工程を担うことになるため、仕入れて売る形とは業務の性質が変わる。

開店は1店舗から始まる。ジュンク堂書店 池袋本店は大型の店舗にあたり、コミックの売場も規模がある。既存の売場の中にブランドの区画を設ける形であれば、通常のコミック売場との関係も生じる。

同社は、昔読んだ人には再会のきっかけを、未読の人には新たな発見を届けたいとしている。

完結した作品を扱う形は、販売の期間という面でも性質が異なる。連載中の作品であれば新刊の発売が販売の機会になるが、完結した作品にはその契機がない。グッズの展開や企画が、作品を売る機会をつくる構成になる。

丸善ジュンク堂書店は2010年8月の設立で、本社は東京都中央区新川だ。公式SNSはXとInstagramで展開される。

出典:株式会社丸善ジュンク堂書店 プレスリリース