イオン株式会社は、イオンリテール株式会社が運営する「イオンお買物アプリ」が「2026年度グッドデザイン賞」(公益財団法人日本デザイン振興会主催)のスマートフォン向けアプリ部門を受賞したと発表した。受賞は2026年10月15日で、発表は10月27日の12日後になる。アプリは2017年にサービスを開始し、登録者数は2026年10月時点で約1,600万人になる。主な機能はリワードバナー(動画・Web閲覧型クーポン)、いるかも商品(AI活用のレコメンド)、参加型キャンペーン、買うかもリスト(買い忘れ防止メモ)で、クーポンは1カ月あたり約300企画が用意される。
この受賞で押さえておきたいのが、審査員の評価の内容だ。直感的に操作しやすいUIデザインであることに加えて、購買データの分析とパーソナライズ機能によって、特売品を訴求する従来型の広告から顧客にとって価値のある情報の提供へ転換を目指している点が評価されている。
小売の販促では、チラシが長く使われてきた部分がある。新聞折込や店頭での配布で特売品の情報を一律に伝える形で、同じ内容が多くの家庭に届く構成だ。この形では客ごとの違いが反映されない部分があり、肉を買う客にも魚を買う客にも同じチラシが届き使わない情報も含まれる形になる。発行する側から見ると、印刷と配布の費用が部数に応じて発生する構成だ。
購買データを使う形では、この条件が変わる。誰が何を買ったかの記録があれば、その客に合わせた情報を出せる構成になる。アプリの機能にもこの方向が表れている。「いるかも商品」はAIを使ったレコメンドで客ごとに提案が変わる形で、購買の履歴から次に必要な商品を示す構成だ。
クーポンの企画数も、この運用と関わる部分がある。1カ月あたり約300企画であれば1日あたり約10企画、年間では約3,600企画になる。一律のチラシであれば掲載できる商品の数は紙面の面積で決まる形で、多くの企画を用意しても1枚に載る数は限られる構成だ。アプリであれば客ごとに表示する内容を変えられる形で、300企画の中からその客に合うものを出す構成になる。登録者1,600万人に対して月300企画であれば1企画あたり約53,333人が母数になる計算だが、実際には対象を絞って配信する形と読める。
「リワードバナー」の仕組みも特徴になる。動画やWebを閲覧するとクーポンが得られる形だ。通常のクーポンは配布を受けた客がそのまま使える構成だが、閲覧を条件にする形では客が能動的に動くことになる。広告の視聴が対価になる構成では閲覧の実績が記録される形で、どの客がどの広告を見たかという情報が蓄積され次の配信の材料になる構成だ。
「買うかもリスト」の性質も見ておきたい。買い忘れ防止のメモとして使う機能で、客が買う予定の商品を登録する形だ。購買データは買った後の記録になる部分があり、何を買ったかは分かるが買おうとして買わなかったものは記録されない形になる。買う予定を登録する形では購買の前の段階が分かる構成で、リストに入れた商品が実際に買われたかどうかという情報も生じる形だ。
小売の側から見ると、この情報は品揃えや在庫の判断に関わる部分がある。リストに登録されながら買われていない商品であれば、欠品や価格の問題が生じている可能性がある構成だ。客の側から見ると買い忘れを防ぐ機能になり、買い物の前にリストを作る習慣があれば紙のメモの代わりに使う形になる。アプリの中にリストがあれば、クーポンや商品の情報も同じ画面にある構成だ。
登録者数の規模も見ておきたい。2017年のサービス開始から2026年10月までで約9年、登録者約1,600万人であれば年平均で約178万人、1日あたりでは約4,871人の増加になる計算だ。アプリの登録には客の側の手続きが生じる部分があり、ダウンロードして会員登録する形で紙のチラシを受け取る形とは手間が異なる構成になる。一方で登録した客は継続して情報を受け取る形になり、チラシは配布のたびに費用が発生するがアプリであれば配信の費用は同じ構成だ。
4つの機能の組み方も見ておきたい。クーポン、レコメンド、キャンペーン、メモという構成で、販促の機能と客の利便の機能が混在する形だ。クーポンとレコメンドは店側から客に情報を出す形になり、メモは客が自分で使う機能で店側からの働きかけはない構成だ。アプリを開く理由を複数持たせる形は利用の頻度に関わる部分があり、クーポンだけであれば使うときにしか開かない形だが、メモの機能があれば買い物の前に開く習慣が生じる構成になる。
イオンの設立は1926年9月で2026年で100年になり、アプリの開始はその91年後にあたる。本社は千葉県千葉市美浜区、代表者は吉田昭夫氏、資本金は2,200億700万円だ。