米ウォルマート(Walmart)は、複数の外食ブランドを展開するインスパイア・ブランズ(Inspire Brands)との協業により、レストラン配送事業を拡大すると発表した。同社傘下のコーヒー・ドーナツチェーン「ダンキン(Dunkin’)」の飲料や食事を、ウォルマートでの注文と合わせて配送できるようにする取り組みで、今年夏に開始したレストラン配送事業をさらに広げる位置づけとなる。

発表によれば、ダンキンはまずウォルマート店舗内に入居する150店舗から配送を開始し、将来的には店舗外にある全米約1万店舗の大部分にまで対象を拡大する計画だという。これにより、顧客はウォルマートの店舗内外を問わず、ウォルマートのアプリまたはWalmart.comを通じて直接ダンキンに注文できるようになる。ウォルマートは、店舗内テナントにとどまらず配送対象を拡大することで、通常の買い物とレストランの飲食を組み合わせた、より強固な配送エコシステムを構築できるとしている。同社は米国人口の約90%が店舗から10マイル圏内に住むという圧倒的な店舗網と、既存のラストマイル配送網を活用し、レストラン配送分野で急速に存在感を高めつつある新興プレーヤーとして、この事業を急速に拡大できる立場にあると説明している。

ウォルマートでeコマース・フルフィルメント変革を担当するシニア・バイスプレジデントのグレッグ・キャシー氏は、「小売の未来とは、顧客がいる場所に出向き、生活をよりシンプルにすることだ」と述べ、「店舗の外までレストラン配送を拡大することで、他に類を見ない価値と利便性を提供している。ウォルマートは実生活を支えるために作られており、ダンキンとともに、ペーパータオルや牛乳などの生活必需品と一緒に、飲み物やドーナツ、サンドイッチを注文できるようにする」とコメントした。

一方、ダンキンのブランド社長でインスパイアのチーフ・ブランド・オフィサーを務めるスコット・マーフィー氏は、「目標はシンプルで、ゲストがいつでもどこでもダンキンをより手軽に楽しめるようにすることだ」とし、「ウォルマートの配送プラットフォームの強みとダンキンのメニューの魅力を組み合わせることで、より多くのゲストに、より多くの場面でリーチできる」と語った。

対象地域の顧客は、配送先住所に応じてウォルマートアプリの「レストラン」タブに自動的にダンキンが表示され、メニューの閲覧や商品のカスタマイズ、決済まで、普段の買い物と同じ操作感で利用できるという。

ウォルマートは今年6月にサブウェイ(Subway)を皮切りに店舗内レストランからの配送を開始しており、今回のダンキンとの提携はその取り組みを本格的に外部拡大するものとなる。なお、ウォルマートとダンキンはすでに150店舗目の出店を達成しており、ジョージア州オークウッド店が節目の店舗となったことも別途発表されている。

インスパイア・ブランズは、ダンキンのほかアービーズやバスキン・ロビンス、バッファロー・ワイルド・ウイングス、ジミー・ジョンズ、ソニックなどを傘下に持ち、世界55市場でフランチャイズを含む65万人の従業員・チームメンバーを抱える外食大手。ダンキンは1950年創業で、世界約40市場に1万4200店舗以上を展開する米最大級のコーヒー・ドーナツチェーンとなっている。

ウォルマートは全世界19カ国で1万900店舗以上を展開し、毎週約2億8000万人の顧客・会員が来店する小売最大手で、2026会計年度の売上高は7130億ドル、従業員数は約210万人に上る。今回のダンキンとの提携は、実店舗とデジタル、配送サービスを一体的に強化することで、日用品の買い物とレストラン利用を1回の注文にまとめるという同社の戦略を象徴する事例といえる。


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